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モノレールとバス専用道路を、中規模輸送の現実的選択肢に

都市交通というと、最近はLRT(次世代型路面電車)ばかりが注目されている。しかし実際には、モノレールやバス専用道路といった交通システムの方が適している地域も数多く存在する。

これらが積極的に採用されない理由は何か。技術的な問題ではない。法規制が極めて厳しく、道路に例えるなら「一般道でいいのに高速道路規格を求められている」ような状況がコストを押し上げているのだ。

中規模輸送には十分な能力を持っている

モノレールやバス専用道路は、決して「劣った選択肢」ではない。必要な規模で建設すれば、中規模輸送機関として十分な能力を発揮する。

LRTが時間あたり地下鉄とほぼ同じ輸送人員を運べるとされるが、モノレールも同様の輸送力を持つ。実際、沖縄のゆいレールは開業から16年で利用者が急増し、混雑が激化するほどの需要に応えている。多摩モノレールも地域経済に大きなインパクトをもたらし、周辺地価を押し上げる効果を発揮している。

バス専用道路についても、専用レーンさえ確保できれば鉄道に近い定時性と輸送力を実現できる。問題は「必要なだけの規模で作る」ことが現在の法律上極めて難しいことだ。

法規制が「過剰品質」を強要している

現在の制度では、モノレールもバス専用道路も「鉄道扱い」とされ、以下のような重い規制を受ける:

モノレールの場合:

バス専用道路の場合:

  • ゆとりーとラインは「軌道法に基いた案内軌条式の軌道路線」として分類
  • バス車両なのに「非電化のトロリーバス」という扱い
  • 23年間で日本唯一の事例のまま──法制度の複雑さが普及を阻害

これは道路に例えるなら、地域の生活道路を作るのに高速道路並みの規格を求められているようなものだ。結果として建設・運営コストが跳ね上がり、本来適している地域でも導入を諦めざるを得なくなっている。

「必要なだけ」の柔軟な整備が可能なはず

モノレールやバス専用道路の真の強みは、段階的・選択的な整備が可能なことだ:

  • 駅前の渋滞区間だけ専用道を整備すれば、ピンポイントでの遅延解消
  • 需要に応じて車両編成や運行頻度を柔軟に調整
  • 既存バス路線との連携で、効率的なネットワーク構築

LRTのように「全線整備ありき」ではなく、地域の実情に合わせて「必要な分だけ」投資できる。これこそが中規模都市や郊外部に適した現実的なアプローチだ。

国道並みの法規制で選択肢を広げよ

解決策は明確だ。モノレールとバス専用道路の法規制を、現在の「高速道路級」から「国道並み」まで緩和することだ。

具体的には:

  • バス専用道路は道路法上の専用道として位置づける
  • モノレールの建設・運営手続きを簡素化する
  • 段階的整備を前提とした制度設計に変更する

これにより低コストでの運営が可能になり、地域の交通課題に応じた現実的な選択肢として活用できる。全国一律の重厚な制度ではなく、地域の実情に合わせた柔軟性こそが求められている。

LRTだけでは解決できない課題がある

LRTは確かに優れた交通システムだが、すべての地域に適しているわけではない。地方都市や東京郊外のような「中途半端に需要がある場所」では、むしろモノレールやバス専用道路の方が現実的な場合も多い。

重要なのは、交通システムを選択する際の多様な選択肢を確保することだ。現在のように法規制によって事実上の選択肢が狭められている状況は、地域の交通政策にとって大きな損失と言えるだろう。

海外では今でも積極的に建設されている

注目すべきは、海外では現在でもモノレールやバス専用道路が積極的に建設されていることだ。

最新の事例として、2024年12月にサウジアラビアの首都リヤドで「リヤドメトロ」が開業した。 その規模は6路線・85駅・全長176kmに及び、1日360万人の乗客を輸送。自動運転としては世界最長の都市鉄道網となる。さらに同年10月には、KAFD内のオフィス、商業施設、レジャー施設を結ぶ全長3.6kmの高架環状線で、6つの駅が設置される予定のKAFDモノレールの契約も締結されている。

BRTについても、2014年時点で世界186都市で運行され、路線の総延長距離は4757キロメートルに達している。フランス各都市で運行されているBHNSでは、存在感があり都市の軸・シンボルとなりえるデザイン性を有した車両が導入されている。

これらの事例が示すのは、モノレールやバス専用道路は決して「過去の技術」ではないということだ。むしろ2024年という最新の時点でも、大規模な都市交通プロジェクトの中核として採用され続けている。

まとめ:海外事例を参考に、安全性と経済性に基づく法整備の見直しを

モノレールやバス専用道路が「使えない選択肢」になっているのは、技術的な問題ではなく制度設計の問題だ。法規制を現実的なレベルまで緩和することで、これらは再び有力な交通政策の手段となり得る。

世界各国で続々と建設されている現実を踏まえれば、日本だけが過度に慎重になる理由はない。海外の豊富な運用実績こそ、安全性と経済性を両立できる証拠だ。これらの事例をもっと参考にして、安全性と経済性に基づく法整備の見直しを進めるべきではないだろうか。

地域の交通課題は多様だ。その解決策も、LRT一辺倒ではなく、多様な選択肢の中から最適なものを選べる環境を整える時が来ている。


参考情報

輸送実績・効果に関するデータ:

法制度に関する情報源:

海外比較事例:


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