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ショッピングモールの渋滞がなぜ発生するか構造的に分析

あべのハルカスの交通渋滞対策を考える(駐車場キャパシティー編)

【ハルカス周辺】駐車場アクセスの“実務と行政”のズレが面白い件

あべのハルカスといえば関西随一のランドマーク。地上300mの超高層ビルに、百貨店やホテル、オフィス、展望台となんでも入っている巨大複合施設です。 今回は、このハルカス周辺の「駐車場アクセス」にまつわる、実務と行政の“ズレ”に注目してみます。

地図はこちら▶(外部リンク)


広域駐車場侵入経路

1. 公式ルート vs 現場ルートの違い

たとえば、ハルカスの駐車場案内。 行政文書では以下の3つが代表的に挙げられています:

しかし、実際の運用では

が主に案内され、天王寺公園地下やあべのベルタ駐車場はスルー これは百貨店の導線や利用者の分かりやすさを優先して、“運用上の最適解”が選ばれている結果と見られます。


2. 駐車場への進入ルートも違う

南方面から来る車についても、行政文書では以下のように記載されています。

ですが、実際の案内ではこうです:

  • あべのベルタ手前で右折→あびこ筋→左折で北上→近鉄パーキング前で左折侵入

なぜこうなっているか? 答えは単純で、右折ルートは渋滞しやすく非効率だからです。あびこ筋経由なら左折主体のスムーズなルートで、よりスピーディに駐車場に入れます。

都シティ大阪天王寺近鉄パーキングの間には、1Fに近鉄南大阪線と一般の車道が走ってます。軽快に高架で進み4Fへ進む形になります

3. 存在を消された“1F駐車場入口”

近鉄パーキングビルには、あまり知られていない1階の駐車場出入口があります。 都シティ前の信号から入れば4階に接続しますが、1Fの入口は公式には記載されていません。

その理由はおそらく、安全面。細い道を通る必要があり、歩行者が多く危険だからです。 ところが、“出口”としては行政資料にしっかり記載されており、実際に現地には「出庫専用の標識」もあります。しかもパーキングビルからあびこ筋や西名阪、堺方面は1Fの出口に案内されています。

存在感を消されている1F駐車場出入口
近鉄パーキングビルの出口の標識です。あびこ筋や西名阪、堺方面は1Fの出口に案内されています。あびこ筋へ誘導している形ですね!


4. どこから来てる?方向別来場者の割合

休日の交通量データから見る、百貨店来客の方向別ルートは以下の通り

方向 道路 割合 台数/日
国道25号線〜大阪高石線 39.8% 688台
南1 大阪和泉泉南線(あべの筋 19.1% 330台
南2 あびこ筋 28.0% 484台
天満橋筋 10.1% 174台
西 今宮平野線など 3.0%未満 誤差レベル(笑)

メインは東と南方面からの来場で、アクセス調整もこの2方向を中心に設計されています。


5. 出口信号の制御と“逃がせる”台数

出口にあたる交差点の信号制御を測ってみました(平日昼間・黄信号除外):

  • 東西の大通り:青信号 約1分25秒+右折信号 約10秒
  • 駐車場側:青信号 約35秒

この交差点は天王寺MIOの駐車場出入口と共用で、そこまで多くの台数を同時には捌けません。

理論上の出庫台数を試算すると:

  • 車線2本(1,500台/時)×信号出現率10%×補正係数0.5 ≒ 75台/時 ※補正係数は、横断歩道者や前方MIOからの交通が交差を考慮。

ハルカス開業前のシミュレーションではピーク時291台/時の出庫が予想されていたので、 警備員の交通整理や かくれた近鉄パーキングビル1F出庫の活用で上振れさせている可能性があります。


駐車場出入口MAP

6. 荷捌きは?搬入は?

ちなみに搬入は来客と完全に導線分離されており、南大阪線の高架下に専用通路あり。 荷捌き出入口は西側の大阪高石線に接続してます。(ってか、通路だけで300mぐらい、、、すごい)

ピークは平日11:00~12:00で300台! 休日前じゃなく、あえて日中に集中しているのが興味深いところです。

搬入口です。ここから300mも南大阪線の高架したを進んで搬入なんですね、なんかすごい。さすが鉄道会社

7. 駐車場の拡張は?→無理です(笑)

近鉄パーキングビルの土地利用状況:

  • 商業地域・市街化区域
  • 建ぺい率 80%、容積率 400%
  • 準防火地域+駐車場整備地区

すでに立体化ギリギリまで建てているので、増設はほぼ不可能。

ハルカス本体はさらにすごくて、

  • 建ぺい率 80%、容積率 1600%、防火地域

…って、どこに余白が?(笑) 都市再生特別地区指定までされていて、まさに“限界突破”の都市建築です。


おわりに

いやもう、ハルカス周辺の駐車場事情、調べれば調べるほど“奥が深い”のなんのって。 現場と行政の使い分け、交通制御の妙、そして駐車台数の捌き方。 地味に見えるテーマですが、ここに都市設計のロジックと人間のリアルな動きが詰まってます。

本文では触れてないですが、ハルカスのホテルとオフィスは別に駐車場があります。

こちらの南駐車場、、、影が薄くなってすみません。こちらも見どころ?があるので気が向いたら書くかも(笑)

参考文献

大阪市 阿部野橋ターミナルビル旧館建替事業 環境影響調査 および質疑

近鉄 あべのハルカス近鉄本店WEBサイト


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