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ショッピングモールの渋滞がなぜ発生するか構造的に分析

イオンモール岡山はなぜ渋滞するようになったのか

はじめに

イオンモール岡山は、岡山市中心市街地、岡山駅の南側(徒歩10分以内)という好立地にそびえる大規模商業施設として、開業以来多くの人々を引きつけてきた。 だがその一方で、渋滞の問題も根強く、「なぜあれほど混むのか?」という疑問を抱いた人は多いだろう。 今回、この交通問題をあらためて都市設計・交通構造の視点から整理してみた。

地図はこちら▶(外部リンク)


道路は高速と国道2号線がカギ

イオンモール岡山と岡山IC・国道2号線との位置関係と方向別出庫割合(イメージ)

🚗 根本的な原因は「岡山ICと国道2号線(西側)へ出るときに混む」

まず結論から言うと、イオンモール周辺が混雑する主因は、「高速道路と国道2号線へ出るときのボトルネックである。

岡山市街の道路構造上、高速道路や国道2号線に接続するルートが複数ある。つまり、都心部はかなり細かく整備されている。しかし、それがネックとなり交差点同士が非常に近く渋滞になりやすいうえに、最終的に北側(高速道路方面)と南西側・南東側を結ぶ国道2号線に集中する。つまり、どれほど周辺道路を整備しても、最終的にその集中箇所で詰まってしまう。

イオンモール内の駐車場から車を一気に出そうとしても、最終的に出口のボトルネックで"押し戻され"、施設内や周辺道路に車列が滞留する構造的限界があるのだ。


イオンモール岡山駐車場アクセススルート

🛣️ どこで「滞留」させるかがカギになる

この構造的問題を前提とすると、次に出てくる課題が、

「出庫する車をどこで滞留させるか?」

という交通制御の問題だ。

南側のけやき通りに出庫車両が集中する設計であり、この道と高速道路や国道2号線に抜けるための東側の市役所通りの拡幅工事が行われた。

これらの通りはもともと商店街のメインストリートでもあり、歩行者や地元店舗にとっては極めて重要な商売のための道路である。にもかかわらず、実質的にイオンモールからの出庫者用の道として使われている。

こうなると、当然ながら地元からの反発や摩擦が起きるのは避けられない。


🚊 路面電車が問題をさらに複雑に

そして、このエリアの交通設計をさらに難しくしているのが、路面電車の存在である。

市役所通りを含む一帯には、岡山電気軌道路面電車が走っており、公共交通の軸として非常に重要な役割を果たしている。しかしその反面、 * 路面電車は渋滞に巻き込まれない * 電停周辺で車両速度を制限するよう設計変更(1車線化)されている

などの事情により、道路の柔軟な制御が極めて難しくなっているのが現状だ。

結果として、市役所通りのもう一つ東側の国道180号線への迂回が難しく、市役所通りの依存度が高まっている。


🏬 「けやき通り=イオンの道」への懸念

こうした中で、地元商店街の人々が危惧したのは

「けやき通りが、事実上イオンモールの専用道路になってしまったのではないか?」

という疑念だ。

実際に、けやき通りの車線数は増強され、イオンの南側出入口と直結する構造となっている。その一方で、地元商店の駐車場へのアクセスや、歩行者空間の快適性は北側の駅方面を優先した印象がある。(歩行者空間はJR岡山駅方面や路面電車方面に歩道橋や地下街でアクセスできるようにした。)

この歩行者の回遊問題を語りだすと、百貨店の存在が出てくるのだが、あまりにも複雑になりすぎるので、興味がある方は書籍『ショッピングモールと地域 著:井尻昭夫ほか』にこのあたりの経緯が詳しく書かれている。


自家用車は高速道路方面と国道2号線に出る車がボトルネックの要因であり、都心部だけを改善しても限りがある。


開業当初の対策

公共交通機関の優遇策

自家用車より公共交通機関を圧倒的に推進した。

「のりのりタッチで街めぐり ハッピークーポンキャンペーン」の実施 平成26年12月5日(金)から平成27年3 月31日(火) イオンモール岡山開業に伴う公共交通利用促進の取り組みについて:JR西日本

公共交通機関を利用して「乗リトクICクーポン」をゲットしよう!!

イオンモール岡山公式ホームページ :: 公共交通機関を利用して「乗リトクICクーポン」をゲットしよう!!

車利用抑止政策 開業当初は駐車場の料金を高く設定して、周辺駐車場より高めで公共交通機関の方がお得だと思わせた。

公共交通機関の利便性向上 バスや電車の増便を実施した。

広報活動 イオンモールからの公共交通機関を進める広報だけでなく、岡山市からも公共交通機関の利用を広報誌で伝えた。

駐車場対策 臨時駐車場を3,000台以上準備した。さらに一部の臨時駐車場からイオンモールまでの公共交通機関の費用の一部をイオンが負担。

結果 大きな交通渋滞は発生しなかった。ただし一部1.1kmの渋滞はあったもののそこまでの混乱ではなかった。[1]

開業から時間が経過すると

バーゲン時などに渋滞が増えた。駐車場から出るのに1時間以上かかるようになった。おそらく駐車場料金が通常期の価格(すなわち値下げ)になり、開業当初のオープンの準備金でのイオン負担のサービスが終了したためと推測できる。

言い換えれば、圧倒的な公共交通機関誘導が削減されたため、利用者にとって公共交通機関より自家用車の方が便利と判断したのであろう。

📝 結びに

イオンモール岡山の混雑は、公共交通機関VS自動車利用どちらがお得だと思わせるかの心理戦だと言える。

道路の構造的に自家用車での来店が増えれば、一部の道路(けやき通りや市役所通り)に負荷をかける。

公共交通機関を有利にしようと思えばイオンの負担が続くことになり、事業継続的にいつかはサービスを削減せざるを得ない。

私見が続くが、以前私がラゾーナ川崎(こちらは神奈川県のJR川崎駅直結の大型ショッピングモール)での渋滞を分析した際も自家用車利用が有利な駐車料金設定になっていた。

私が見た論文内では、自家用車と公共交通機関でどちらがお金を使ってくれるかの比較結果がばらついていたが、大型デベロッパーのイオンモールや三井ショッピングモールが周辺道路の混雑を許容する駐車料金ということは、車での来場の方が利益が多くなるのではないか。だからこそ、近隣渋滞と利益追求(私企業であるから当然である)のジレンマがあるのかもしれない。

ラゾーナ川崎の道路渋滞問題を徹底分析|適法設計でも解決しない5つの構造的要因 - asklib

施設基本情報

項目 内容
施設名 イオンモール岡山
都道府県 岡山県
運営会社 イオンリテール株式会社
敷地面積(m2) 46,000
延床面積(m2) 250,000
賃貸面積(m2) 92,000
開業日 2014/12/5
映画館
駐車台数 2,500
駐車料金 有料
最寄駅 岡山駅
距離(m) 400
最寄りIC 岡山IC
ICからの距離 6,819
入口の数 4
駐車場の数 1
駐車場状況リアルタイムURL リンク
GoogleMap リンク

追加情報

イオンモール岡山駐車場渋滞情報履歴


🔍 参考文献:

[1] 『ショッピングモールと地域』(井尻昭夫ほか) [2] イオンモール岡山オープン後1カ月間の利用調査 [3] 渋滞対策研究会 渋滞対策の提言 2016


追加情報

www.sanyonews.jp

開業後取材 KSB瀬戸内海放送 https://www.youtube.com/watch?v=riWtmtUKQhg


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