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ショッピングモールの渋滞がなぜ発生するか構造的に分析

第2話 ディズニーランド開業時の渋滞対策

前の記事では、ディズニーランド開業時の鉄道アクセスについて触れました。 最寄りの浦安駅は住宅街の真ん中にあるため、住民への影響を最小限に抑える対策が求められていました。

徹底した混雑予測

計画はまず「いつ・どれだけ混むか」の試算から始まりました。

  • 年間入園者数は1,000万人を想定(混雑日は1日8万人)
  • お客さんは午前中に多く入ってくる
  • 来園者の60%がマイカーで駐車場利用と予測

この「動きの予測」が、すべての対策の土台になります。

8つの交通対策

① 駐車場8,000台・入口ブース10か所

マイカー60%という予測に対応するため、8,000台収容の駐車場を確保しました。 ここで、8000台という数値が出てきます。

午前中にすべての車を入れられるゲート数として 入口ブースを10か所としました。 1ブース360台/時間×10ゲートで3,600台/時間入れる計算になります。 これで、2時間半あれば駐車場を満車に出来るゲート数になります。

駐車台数8,000台。入口ブース10か所が決まった瞬間です。

この数値が決まるまでのディズニーランド設計では 駐車場がもう少し狭く8,000台停められなかったのですが、この数値を受けて駐車場の面積を広くしています。

② 来園ルートの指定

来園車両が使える道路を、首都高速の側道のディズニーからの西側の国道357号を主として、住宅地の生活道路への流入を構造的に防ぐ計画になりました。

③ 誘導標識38本

当時はカーナビがありません。地図と標識が頼りです。 そこで「ディズニーランドへ」を示す誘導標識を38本設置し、来園者が迷わないようにしました。間違えて住宅街で道に迷わない配慮です。

④ 駐車エリアを5種類に分類

区分 内容
1 一般車両
2 バス
3 二輪車
4 送迎者
5 障がい者

「送迎者」と「障がい者」を独立したエリアとして設けたことは、現在でも珍しい。ディズニーのホスピタリティは、駐車場の設計段階からすでに始まっています。

⑤ 右折は出来るだけしない

駐車場の入口は1か所、出口は北・西・南の3か所になりました。 駐車場所に合わせて出口が変わります。

出口 利用条件
北側 北側一部駐車場・送迎者・障がい者エリアのみ
西側 中央一部駐車場のみ(交通状況次第)
南側 全駐車スペースから利用可能なメイン出口

入口と出口は意図的に離して配置されており、 南側出口はパーク全体で最も遠い位置 に設けられています。 これにより、ランドへ入る車と出る車が別ルートを使うため、渋滞が分散される仕組みです。

南側出口から出ると、自然と 国道357号の1本南側の道路へ直進 する動線になります。 現在もこの道路が主要な出庫ルートで、リゾート拡張に伴いアンダーパスが整備されました。 直感的に分かりにくい構造にもかかわらずアンダーパスを採用したのは、 この動線設計を維持するため です。

さらに、駐車場の出入りは 直進か左折のみ で行えるよう設計されています。 右折待ちで車列が止まらないため、現在「左折イン・左折アウト」と呼ばれる 交通設計の先駆けとなりました。

主な入庫ルートと出庫ルートが公道でも交わらない

⑥ シャトルバスはあえて遠回りの経路

浦安駅からパークまで約7キロです。専用バスを運行し、所要時間は約20分。ピーク時は1~2分間隔という高頻度運行です。

地元住民への騒音や渋滞を考慮し、バスルートはあえて遠回りに設計されました。

さらにディズニー行きバス乗り場を他のバス乗り場とは離しディズニー行きのバス渋滞が路線バスに影響しない工夫をしました。

ここにも「地域に暮らす人々のため」にバスは住宅街から離すという気配りです。

当時の浦安駅からディズニーランドへのバス経路

⑦ 各種交通規制

さらに、大量の車が来る想定を行い。道路の改良が実施されました。

  • 一方通行(4か所)
  • 横断歩道(25か所・49本)
  • 進路変更禁止区間(2区間)

⑧ 広域監視体制

一つの町の車がまるまる移動する規模である8,000台もの車がディズニーランドに集中します。 大規模な渋滞により、千葉県全体の交通がマヒしないように、 千葉県の交通管制センター(本部・成田・葛南)が連携ました。

次の記事に、実際の開園時を見てみましょう。


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