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ショッピングモールの渋滞がなぜ発生するか構造的に分析

イオンモール白山はなぜ渋滞しないのか

イオンモール白山をご存じだろうか。石川県白山市の白山IC付近にできたイオンモールである。このイオンモールは意外なほどインターネットでの渋滞投稿が少ない。そこで、なぜ渋滞が少ないのかを分析してみた。

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立地と周辺道路の状況

イオンモール白山MAP
イオンモールを中心に見ると、以下のような道路配置となっている:

  • 西側:金沢外環状道路。白山ICと白川村を結ぶ石川県でも重要な道路(片側2車線)
  • 北側:金沢バイパスと外環状道路を結ぶ重要な道路(片側2車線)
  • 南側・東側:従来の住宅街や工場を結ぶ生活に密着した道路(各片側1車線)

交通計画の基本コンセプト

入庫ルート

まず第一に、西側の外環状線を絶対に渋滞させてはならない。この路線を渋滞させると石川県全域に影響が出る。次に、北側の金沢バイパスからの合流も渋滞させてはならない。

言い換えれば、南側と東側の道路でいかに交通を捌くかがポイントになる。

巧妙な交通設計

基本設計:左折イン・左折アウト

基本設計は左折イン・左折アウトである。イオンモールで左折入場できない南側からの来場車両に対しては、南西の信号に右折レーン2車線・100mレーンを設け、大量の車を右折させている。本線が2車線にもかかわらず、この規模はかなり大きい。

右折した車は2車線で南側の道路を東方向に侵入できる。左側レーンは事実上イオンモールへの侵入レーン、右側レーンも少し進むと別の入口からイオンモール駐車場へ侵入できる。つまり2車線どちらに進入してもイオンモール駐車場に速やかに入場できる仕組みだ。

右折禁止

その他の渋滞対策

他の道路でも右折レーンや道路拡幅を行い、十分に捌ける道路構造にしている。

瞬間的に大量の車が入庫する場合には、各駐車場へ直接誘導せず、いったんイオンモール建物の外周道路に誘導し、あとは各自で個別の駐車場に向かわせる。これにより約1kmの外周道がバッファとして働き、周辺道路で滞留させない構造になっている。

なお、東側外環状道路からイオンモール敷地へ入る際は、イオンモール専用の左折レーンが150m設置されており、いかにこの外環状道路を守る姿勢かが分かる。

開業時の課題と対策

それでも開業時には500mにもわたる渋滞を発生させた。原因は北側の金沢バイパス方面からイオンモールに来た車が、横断歩道による歩行者の影響で思ったより捌けなかったことである。

しかし、この道は片側2車線で左側レーンで渋滞したため、イオンモールに用事がない車はさほど影響を受けなかった。対策として誘導員を積極配置し、横断歩道への車の侵入をコントロールして解消したとのことである。

出庫時の交通容量計算

ピーク時間に1,500台の出庫があると仮定した場合、このエリアから抜け出せる道路の容量は以下の通り:

主要道路

  • 東側道路北行き(白山IC方面)2車線:1,500台/時(混雑度1.02)
  • 東側道路南行き(白川村方面)2車線:1,500台/時(混雑度1.32)
  • 北側道路東行き(金沢バイパス方面)2車線:1,500台/時(混雑度0.92)
  • 北側道路西行き2車線:1,500台/時(混雑度0.92)

補助道路

  • 北側中央から北行き1車線(狭小):300台/時
  • 東側道路北行き1車線(狭小):300台/時
  • 東側道路南行き1車線(狭小):300台/時

これを見ると、ピーク時の1,500台はもちろん、うまく誘導すれば時間当たり3,000台も理論的には捌けるだろう。ただし、絶対に東側の外環状線と北側道路を混雑させてはならないので、極めて妥当な数字である。

区画整理事業としての優位性

今回のイオンモールの特徴は、区画整理事業として行われたところにある。

よくあるイオンモールをはじめとする大型商業施設は工場跡地が多く、この場合は既存インフラの改修が最低限にとどまるとともに、道路のキャパシティに合わせた商業施設以上の規模になりがちである(これを否定しているわけではない)。

今回は区画整理事業として、イオンモール以外の工業ゾーン、史跡ゾーン、住居ゾーンを一体的に計画し、インフラを最適化して、そのインフラの範囲内で営める大型商業施設の規模になったと想像できる。

この観点から見ると、行政主体の区画整理の合理性が見えたと感じた。

もう一つの工夫:セカンドチャンス設計

よくあるイオンモールでは、一度信号や右左折タイミングを逃すとかなり大回りでUターンが必要になる。しかし、この商業施設は一度見過ごしても、もう一度リベンジできる駐車場入り口がある。これで挙動不審な車を激減させ、交通を安定化できていると考えられる。

施設概要・駐車場状況

イオンモール白山 - asklibdata

イオンモール白山の規模

  • 敷地面積:約175,000㎡
  • 延床面積:約110,000㎡
  • 駐車場:3,800台(ピーク時一時間に1,500台の入出庫)

2026年1月3日 駐車場状況

イオンモール白山 駐車場状況マトリクス(2026/1/3)

時刻 A B C D E 屋上 備考
09:00 🟢 🟢 🟢 🟢 🟢 開店前
10:00 🟢 🟢 🟢 🟢 🟢 開店
10:26 🔴 🟢 🟢 🟢 🟢 A区画のみ満車開始
11:00 🔴 🟢 🟢 🟢 🟢 A単独満車継続
11:18 🔴 🔴 🟢 🟢 🟢 B区画も満車
11:55 🔴 🔴 🔴 🟢 🟢 C区画も満車
12:00 🔴 🔴 🔴 🟢 🟢 A〜C満車
13:00 🔴 🔴 🔴 🟢 🟢
13:23 🔴 🔴 🔴 🔴 🟢 D区画も満車
13:31 🔴 🔴 🔴 🔴 🔴 全区画満車達成
14:00 🔴 🔴 🔴 🔴 🔴
15:00 🔴 🔴 🔴 🔴 🔴
16:00 🔴 🔴 🔴 🔴 🔴
17:00 🔴 🔴 🔴 🔴 🔴
17:35 🔴 🔴 🟢 🔴 🔴 C区画が先に回復
17:50 🔴 🟢 🟢 🔴 🔴 B区画も回復
18:00 🔴 🟢 🟢 🔴 🔴
18:12 🟢 🟢 🟢 🔴 🔴 A区画も回復(約8時間ぶり)
19:00 🟢 🟢 🟢 🔴 🔴
19:33 🟢 🟢 🟢 🟢 🔴 D区画回復
19:41 🟢 🟢 🟢 🟢 🔴 E区画のみ満車継続

凡例:

  • 🔴 = 満車
  • 🟢 = 空車
  • ⬛ = 閉鎖中(屋上駐車場は終日閉鎖)

表から見えた2つのポイント

1. 屋上駐車場が終日クローズしていた点について

屋上駐車場が終日「閉鎖中」となっている。 2026年1月3日は白山市で約40cm規模の積雪が観測されており、このような条件下では安全確保の観点から、屋上駐車場を閉鎖する判断が取られた可能性が高い。

https://www.fnn.jp/articles/-/982386?utm_source=chatgpt.com

2. 「A区画から順に埋まる」満車化の進行構造

満車化の進行順は一貫して

A → B → C → D → E

となっており、この駐車場では

「A区画から順に、見つけた所で探索を止めて駐車する」

という利用行動が優勢である可能性が高い。

平面駐車場であり、特にA区画だけが極端に目立つ構造とは限らないにもかかわらず、この順序性が強く出ている点は興味深い。 現地で導線や除雪状況を確認したわけではないが、積雪の影響で除雪作業や誘導がA区画から順に行われていた結果、この順序構造が形成された可能性も一つの仮説として考えられる。

追記

イオンモール白山が渋滞しているのではないか、というご意見をいただき調べてみると、渋滞の発端が南側約1キロ離れたコストコでした。(たまたま私が調べたタイミングだけかもしれません)

コストコとの位置関係


参考文献

  • 雑誌「区画整理」2022年6月号「大規模商業施設立地に伴う渋滞対策の検証~白山市横江町土地区画整理事業~」
  • WEBサイト「イオンモール白山 モール概要」https://hakusan.aeonmall.com/static/detail/outline

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