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ショッピングモールの渋滞がなぜ発生するか構造的に分析

ジアウトレット北九州・イオンモール八幡東はなぜ渋滞しないのか

~巨大商業施設がほとんど渋滞しない理由は、車を市街地から海側へ押し出すしかけ~

福岡県にジアウトレット北九州(THE OUTLETS KITAKYUSHU)・イオンモール八幡東(やはたひがし)があります。

6,500台駐車場を抱え、駅とデッキで直通(JRスペースワールド駅)している巨大施設です。


1. 施設構成と規模

主変MAP

項目 アウトレット イオンモール 合計 備考
駐車台数 4,500 2,000 6,500 駐車場はアウトレット側が主体
お店の規模(賃貸面積(㎡)) 48,000 48,000 96,000 両施設はほぼ同規模
専門店数 170 130 300 専門店数はアウトレットが多い

駐車台数6,500台という規模は、 イオンモール幕張新都心(約7,300台)に迫る全国有数の駐車容量です。

この規模にもかかわらず、施設周辺で深刻な交通渋滞が常態化している様子は見られません。

施設概要 THE OUTLETS KITAKYUSHU・イオンモール八幡東 - asklibdata


2. 周辺道路と立地条件

2.1. 東西を結ぶ道路

この施設は、北九州都市高速道路「枝光ランプ」にほぼ隣接しているのが特徴です。

北側から南側へ、位置関係を整理すると以下の通りです。

【北(海側)】
────────────────────
🌊 海
 ・ブライダル・スパ(他資本)
 ・臨時駐車場 🅿️
【 北九州都市高速(枝光ランプ)🛣️ 】
 ・北4駐車場 🅿️
【 市道(西本町枝光1号線) 】
 ・THE OUTLETS KITAKYUSHU
 ・イオンモール八幡東
【 国道3号線 】
 ・市街地
【 北九州都市高速(大谷ランプ)🛣️ 】
────────────────────
【南(市街地側)】

市街地側には別のランプが存在するため、 市街地から高速道路利用者はアウトレットに近い枝光ランプを使う必要がほとんどありません。

2.2.海側を使うのがうまい

海側は市街地と反対側で、通常は集客立地になりにくい。 しかし本施設では、枝光ランプを挟んで北側に 大規模な臨時駐車場(約1,000台)を配置しています。

混雑時は店舗周辺で滞留している車をこの臨時駐車場へ誘導する 結果として、市街地で入庫待ちの車が少なくなり市街地を巻き込んだ渋滞が発生しません。

参考. 開業時の渋滞状況

イオンモール開業後にTHE OUTLETS KITAKYUSHUが追加開業した際、 枝光ランプ方面で最大約500m程度の渋滞が確認されました。

これは、海側の臨時駐車場へ誘導する際に一時的に渋滞が発生したと推測できます。

(福岡県交通渋滞対策協議会・令和4年度 第1回資料より筆者考察)

開業による渋滞場所

2.3.出庫する車の十分な近隣道路環境

、 いくら市街地から離れた海側へ車を誘導しても、 一定の時間帯に車が一斉に出庫するという現象は避けられません。

このとき、 海エリアから市街地方面へ抜ける道路の処理能力が不足していると、次のような悪循環が発生します。

出庫車が集中 → 海側から市街地へ抜けられない → 新規入庫車も出庫の車の渋滞に巻き込まれる → 結果として、出庫の車と市街地側で駐車場待ちの滞留で市街地も大渋滞

この構造が顕在化している代表例が、三井アウトレットパーク木更津である。 臨時駐車場を海側に大量に確保しても、 周辺道路のキャパシティが追いつかず、最終的に市街地側で渋滞が発生してしまいます。

アウトレット木更津の渋滞原因を6つのレイヤーで解説!アクアラインだけが問題ではない - asklib

一方、北九州・八幡東では事情が大きく異なります。

海エリアと市街地エリアの間に 北九州都市高速・枝光ランプが挟まる構造となっており、 出庫車をそのまま高速道路へ逃がすことができます。

これは、 東京ディズニーリゾートが「海側で交通処理を完結させている構造」と非常によく似ています。

ディズニー帰りの渋滞に隠された"魔法"の仕組み - asklib

さらに本施設周辺には、 国道3号線をはじめとする比較的幅員の大きい道路が複数存在しており、 仮に一つの道路が混雑しても、他ルートへ自然に分散できます。

つまり、

「市街地から離れた場所に駐車場を置く」だけでは不十分で、 「そこから車をどこへ逃がすか」まで設計されているかが決定的に重要です。


3. 渋滞を避けるための前提条件

3.1. 南側へのアクセス道路

施設西側から南へ延びる道(八幡戸畑線)は渋滞しやすいので、ここを避けるといいです。( 渋滞度:1.91・平均速度:20km/h未満)

南側に抜ける道路

3.2 国道3号線の扱い

南側で東西に結ぶ国道3号線は慢性的に混雑しやすく、 施設西側から南進するルートは交差点構造も複雑で渋滞に巻き込まれやすいです。

一方で、施設東側の山王中央1号線を使えば、 国道3号線高架下で単純に横断し、市街地へ抜けることができます。


4. 推奨アクセスルート(混雑期想定)

平日は問題ないため、GW・年始セールなどの繁忙期を想定します。

4.1 駐車場混雑状況の確認

公式サイトでリアルタイムの駐車場混雑状況を確認できます。

https://yahatahigashi.aeonmall.com/

イオンモール・アウトレット双方の駐車場状況を一括表示。 デッキで接続されており、駐車料金は無料・時間制限なし。 つまり、どこに停めても金銭的なデメリットは無いです。


4.2 休日の推奨ルート

(A) 高速道路利用 枝光IC → 施設直結

  • 混雑時:北側臨時駐車場
  • 余裕あり:目的地最寄り駐車場

(B) 西側から JR線路沿い(西本町枝光1号線) → 北4駐車場がおすすめ

  • 高速流入車が使えない構造
  • デッキ接続で実移動は快適

(C) 東側(国道3号線 戸畑バイパス西 → 中央三丁目左折 → 空き駐車場を見て右折入庫

(D) 東側(県道296号線) 上本町交差点右折 → 渋滞に巻き込まれにくい

4つのアクセスルート


4.3 帰路

4.4 避けるべきルート

枝光本町交差点を直進すると枝光本町商店街に入ります。 入った直後は比較的道路幅が広いですが、進むと急激に狭くなります、使いにくいのでこの道の利用は止めましょう。 公式案内でも回避ルートとされています。(一部生活道路の可能性あり)

避けるべきルート


5. まとめ

本施設は、車を市街地から海側へ押し出すしかけにより、市街地で入庫待ちをさせません。 さらに、出庫時も高速道路をはじめとする多数の道路から選択でき、空いている道から帰宅できます。

言い換えると、巨大商業施設の渋滞対策とは「道路容量を増やすこと」という発想から、 「どこで混ませ、どこを空けるか」をあらかじめ設計することへの転換です。

その設計の結果、これだけの規模の駐車場でも、市街地を巻き込む渋滞をほぼ発生させていない好事例です。

参考文献

関連: 調査施設一覧 | 地図で探す