はじめに:いつの間にか当たり前になった「海外依存」
最近、行政サービスを利用する際に「指定されたアプリやサービスを使ってください」と言われることが増えていませんか?
確定申告、各種手続きの予約、オンライン申請...これらのサービスの多くが、実は海外資本の企業によって提供されています。
便利だから、効率的だから、という理由で選ばれているこれらのサービス。でも、ちょっと立ち止まって考えてみましょう。私たちの税金がどこに向かっているのかを。
現状:税金が「消える」構造になっているの
政府が海外企業のサービスを利用する際、以下のような問題が起きています
- 課税の恩恵が国内にない:売上は海外に流れ、日本での納税額は最小限
- データが国外で処理される:国民の重要な情報が海外で管理される
- 選択肢がない:代替の国内サービスは検討すらされない
つまり、私たちが払った税金が、日本の経済にほとんど還元されない仕組みになっているのです。
よくある反論:「国内企業だと既得権益でしょ?」
こんな話をすると、必ずこんな声が聞こえてきます
「じゃあ国内企業だけに発注すれば、また既得権益じゃん」 「いつものメンバーで利益を回しているだけでしょ?」
確かに一理あります。過去に公共発注を通じた不透明な関係が問題になったことは事実です。
でも、ちょっと待ってください。この批判には大きな落とし穴があります。
視点を変えて考えてみよう
1. 国内企業への発注は「投資」である
国内企業に税金を使うということは、実は以下のような経済循環を生み出します
同じ1億円でも、使い方によって日本に戻ってくる金額は全く違うのです。
2. 海外企業への発注は「流出」である
一方、海外企業(特に租税回避を行う企業)への発注では
- 売上は本国や租税回避地に移転
- 日本での納税は最小限に抑制
- 技術やノウハウは国外に蓄積
- 利益は海外の投資家へ
つまり、税金が日本経済に戻ってこない構造になっています。
3. 「癒着を恐れて国益を放棄」していないか?
最も問題なのは、この思考パターンです
- 国内企業に発注 → 「既得権益だ!癒着だ!」
- 海外企業に発注 → 「便利だから仕方ない」「時代の流れ」
この二重基準によって、国内にお金を回す選択肢が最初から排除されているのです。
具体例で考えてみる
農業に例えてみましょう。
地元の農家を支援せず、「安いから」という理由で海外からの輸入に依存し続けたら何が起こるでしょうか?
- 地元の農業は衰退
- 食料安全保障が脅かされる
- 地域経済が疲弊
- 技術やノウハウが失われる
IT・デジタル分野も全く同じです。発注を通じて国内産業を育てる視点がなければ、技術的な自立は不可能です。
本当に必要なのは「透明で公正な競争」
もちろん、「国内企業だから無条件で良い」と言っているわけではありません。
重要なのは
- 公平な競争の確保:入札の透明性と競争性
- 成果物の質的評価:コストだけでなく品質も重視
- 不透明な関係の排除:再委託構造や天下りの監視
つまり、癒着をなくすために必要なのは「監視」と「明確な基準」であって、国内企業を排除することではありません。
まとめ:誰のための税金なのか
税金は国民から集めた大切な財源です。その使い道を考える時、私たちは以下の点を忘れてはいけません:
- 経済循環の視点:税金が国内で回ることで、雇用や経済成長につながる
- 産業育成の視点:発注を通じて国内の技術力と競争力を高める
- 情報安全保障の視点:重要なデータやシステムの管理体制
「便利だから」「安いから」という短期的な判断で、長期的な国力を損なっていないでしょうか。
最後に:バランスの取れた議論を
「既得権益」という言葉に振り回されて、税金を国内で循環させることまで悪とみなす風潮は危険です。
本当に守るべきは、透明で公正な競争を通じた、健全な経済循環です。
私たち一人ひとりが、税金の使い道の背景にある「経済の血流」に目を向け、建設的な議論をしていくことが大切ではないでしょうか。
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