ショッピングモールの駐車場で、確認しているポイントをまとめてみました。
1. 申請する駐車場収容台数はとにかく少なく
基本原則:「駐車台数は多いに越したことはない」
ただし、土地やコストの制約により「可能な限り最小限に抑えたい」という現実的なバランスが求められます。 特に申請用書類には必要最低限に抑えて、足りない台数は繫忙期だけ近隣の駐車場を借りるなどで対応
後で駐車場の台数を減らすのがどれだけ大変か。という記事はこちら 「駐車場を約1割減らす」大仕事!イオンモール佐野新都市の変更手続きがすごすぎた件 - asklib
考慮すべき要素
- 売り場面積と商品ジャンル(食品、衣料、大型商品など)
- 来店者における車利用率(公共交通の利便性とのバランス)
- 類似施設の実績データや行政資料からの推定値
2. 駐車料金体系の選択
無料駐車場
メリット
- 滞在時間の延長により購買金額が向上
- 心理的な来店障壁が低下
デメリット
- 店舗利用者以外の駐車が増加
有料駐車場
メリット
- 店舗利用者以外の駐車を抑制
- 駐車場収入による収益確保(ただ運営費でほぼ利益は出ない。あくまでも補完的)
デメリット
- 課金システムの初期・運用コスト
- 紙券方式:券の紛失リスク
- ナンバープレート自動認識方式:利用者の操作不慣れ、プライバシーへの不安
3. アクセスとルート設計
道路種別ごとの特徴
- 国道:広域からのアクセスが期待できるが、通過交通への影響を最小限に
- 都道府県道:中域からのアクセスが見込めるが、渋滞の発生は回避
- 市道:主要な導線として活用、待機車両による渋滞は厳禁
- 生活道路:アクセス道路としての使用は避ける
出入口設計の基本
- 左折専用の出入口設計(右折入出庫は原則禁止)
- 駐車場の出入口の切り込みの広さと歩行者との交差
- 処理能力の目安:1車線あたり約350台/時間
出入口の別記事はこちら ショッピングモール店舗出入口設計で知っておくべきポイント - asklib
4. 駐車場構造の選択
平面駐車場
- コスト・施工・運用のバランスが最適
- 広い土地が必要
- 利用者の心理的負担が少ない
屋上駐車場
- 店舗との一体設計が必要
- 非常階段・搬入動線の整備が前提
立体駐車棟
- 独立構造による設計自由度の高さ
- メンテナンス性に優れる
- 屋上駐車場より多くの土地が必要
5. 満車時の交通渋滞対策
循環動線の確保
店舗周囲に循環道路を設置し、満車時でも周辺道路で待機させない仕組みを構築。
満車情報の事前提供
- 駐車場入口での「満車」表示
- Webサイトでのリアルタイム満車情報提供
6. 歩行者動線の最適化
駐車場から売場までの配慮
- 買い物カートでの移動を考慮した段差のない設計
- エレベーター設備における自動ドアの設置
- 必要に応じた前室(緩衝空間)の設置
7. 環境配慮とユニバーサルデザイン
特別駐車エリアの設置
- 車いす利用者専用エリア
- 電気自動車充電設備
想定外利用によるクレーム回避のため、色分け・標識・ピクトグラムによる明確な表示を実施。
8. 安全性を重視した設計
駐車スペースの工夫
- 駐車マスの幅員拡大
- 隣接マス間の区画線を分離し、中央駐車を促進
安全対策の実装
- カラー舗装・矢印表示
- 速度抑制ポールの設置
9. 住民への配慮:計画段階からの対策
騒音・振動対策
- 住宅近接エリアでの「停車禁止」または「駐車方法指定」
- 出入口を住宅から離れた位置に配置
- 駐車向き(前向き・後ろ向き)の指定による騒音抑制
10. 心理的障壁の除去
円滑な交通流の確保
- 駐車に時間を要する車両による後続車への影響を最小化
- 出入口前での停車防止対策(ポール設置等)
迷いの防止
- 逆走防止:ポール・標識・照明による明確な誘導
- 出庫時の出口案内を充実させ、利用者の迷いを解消
番外編
とにかく事故を起こさせない!事故1回の損失は激しすぎる。