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イオンモール大高はなぜ渋滞するのか?

立地と基本情報

国道23号線国道302号線の北東側にイオンモール大高があり、南大高駅と歩道橋で繋がっている。まさに交通の要所にこのイオンモールが立地している。

駐車場はメインが3,200台、西側に立体の臨時駐車場800台で、合計4,000台が収容可能だ。

全体MAP

アクセス道路の現状

南北を結ぶ国道23号線とJR線(南大高駅)の間に名古屋市996号線という片道1車線の一般道(以下、市道)があり、この道がメインの出入口になっている。

また、国道302号線から西側に進むと立体駐車場に侵入するルートもある(東方面からは侵入できない)。

渋滞の要因分析

混雑する要因を整理すると、国道302号線市道がとにかく混むことだ。

国道302号線の状況

  • 片道2車線
  • 混雑度:1.04
  • 昼の走行速度:12〜21km/h

市道の状況

  • 片道1車線
  • 南大高駅とのアクセス道路
  • イオンモールのメイン出入口
  • そもそもキャパシティが足りない

数値で見る交通量と道路容量

3,200台の駐車場で平均滞在時間を90分とすると、1時間に2,000台が入出庫することになる。

一方、道路の処理能力は

  • 片道1車線で通過できる車:約700台/時間
  • 市道(片道1車線×南北2方向):1,400台/時間
  • 国道302号線(実質片道1車線の一方通行):700台/時間
  • 合計:2,100台/時間

計算上はちょうど良いが、全ての車がイオンモール利用者ではなく、通過するだけの車も多いため、計算上もかなり渋滞しそうな設計である。

臨時駐車場の問題点

西側の臨時駐車場には以下の課題がある

  • 市道から見えない位置に建っており、直感的に行けない
  • 少しでも歩くという行為がショッピングモールにはキツイ
  • 土日祝のみの稼働
  • 公式の案内図にも出庫ルートが書かれておらず、どうやって出るのかも分からない

消えた第3駐車場

歴史を紐解くと、第3駐車場もあったようだ。イオンモールから市道で南側に行き、302号線を超えた西側の今はビルが建っているエリアに200台駐車できた。

第3駐車場が廃止されたということは、おそらく当時はそこまでの駐車台数は不要だったのだろう。

問題点の整理

電車を使わない理由 この手の駅直結モールでは、車所有率が高いエリアで駐車料金も安いため、鉄道より車のメリットが上回り、電車を使うメリットが少ない。

道路状況

  • 国道302号線:混雑は仕方ないが、とにかく混む
  • 市道:キャパオーバー
  • 国道23号線:混雑度0.6程度で時速33km/h程度で走れるが、直接の出入りはできない

利用者側の対策

土日祝の場合

臨時駐車場を活用する。この臨時駐車場は、国道302号線の西側から進むと市道の手前に小さな小道から第二駐車場にアクセスできる。これが一番混まないだろう。

出庫ルートは公式も定められないほど選択肢があるので、スムーズに出られるだろう(生活道路ルートもあるので個人的には疑問符だが、否定もされていないようだ)。

平日の場合

立体駐車場側の出入口から出入りしよう。こちらは市道と干渉しないので比較的スムーズに入出庫できる。この出口から線路沿いに北方面に行き、駅のロータリーの目の前を通り過ぎて市道を北側に進むのもありだ。

とにかく、市道を使おうとするから混むので、これを使わないようにしよう!

運営者への提案

もし運営者がいらっしゃったら

  1. 臨時駐車場を常にオープンする 「この日は空いていないかも」という心理的ハードルを下げる効果がある

  2. 出庫ルートを明確にする 出庫ルートは地元との交渉でかなり難しいと思うが、それでもしてほしい

  3. 鉄道利用促進の限界 鉄道を使ってもらえればそれが一番だが、鉄道の運賃は運営者が設定できるわけでもなく、クーポンなどで鉄道料金を負担しても持続可能性はない。これ以上は望めないのではないか

まとめ

結論として、とにかく片道1車線の市道にほぼ依存しているのが渋滞の根本原因である。

4,000台の駐車場を支える道路インフラとして、片道1車線の市道では明らかに容量不足。利用者は市道を避けるルートを積極的に活用し、運営者は臨時駐車場の常時開放と案内の改善を図ることが現実的な解決策といえるだろう。

宇都宮インターパークはなぜ渋滞するのか No.2 商業施設周辺編

街そのものがショッピングモール!?出入口20個の謎 前回は国道4号線の問題を見てきましたが、今回はインターパークの商業施設周辺がなぜ混むのかを解説します。

街そのものがショッピングモール

一言で言うと、インターパークそのものが1つの巨大なショッピングモールのように構成されているんです。

普通のショッピングモールなら、施設から一歩外に出れば、もう広域な交通網。アクセス道路は1〜2本が普通ですよね。でも、このインターパークは違います。

街そのものがショッピングモールなので、公道といいつつ、実際にはショッピングモール内の道路のような役割も果たしているんです。

イメージで言うと、大きなデパートではなく、商店街のように公道沿いに店が並んでいる、その超巨大バージョンといったところでしょうか。

出入口が20個もある謎

そのような構造だから、出入口の数がやたらと多いんです。私が数えただけで20個もありました。

出入口の数が多いということは、「出口の後に入口」みたいな現象が起きて混雑します。

「やっと出られた」と思ったら、すぐ隣でまた車が入ってくる。これの繰り返しです。

そのうえ、各施設から車が一気に公道に出るので、一気に渋滞しやすい構造になっています。

東方面への道が少なすぎる問題

さらに、前回の記事で説明した国道4号線との兼ね合いで、東方面への道がやたらと少ないんです。

入り口は東側からあるのに、出口がない。これじゃあ、もうどこに行っても混むでしょう。

出入口

結論:のんびり行きましょう

というわけで、もうのんびり行きましょう

急いでいるなら高速に乗りましょう。1つの区間だけでも...(といいつつ私は絶対に乗らないw)

西側ルートという選択肢

使ったことがないので無責任な発言ですが、一旦徹底的に西側へ行くといいかもしれません。

なぜなら西側にある南北につなげる県道35号線の状況を統計的に見てみると、混雑率が0.81で少しだけ余裕があります。そして要所には右折レーンも付いています。

まとめ(になってない結論)

ということで、国道に出るまでがショッピングモールのイメージでのんびり行きましょう

急がば回れ、です。

宇都宮インターパークはなぜ渋滞するのか No.1 国道4号線編

国道4号線と「なんでもあり開発」が引き起こす予想外の問題 ―

宇都宮市の南端にある宇都宮インターパークは、ショッピングモール、工場、病院などが集まった大きな開発エリアです。北関東自動車道インターチェンジに直結しており便利そうに見えますが、実際にはひどい渋滞が起きています。

なぜこんなに渋滞するのか?答えは国道4号線を渋滞させるわけにはいかない」から、インターパーク周辺から車が出られないのです。

国道4号線の正体:トラックの高速道路

インターパークの東側を通る国道4号線、実はこれ、普通の道路じゃありません。関東と東北を結ぶ物流の大動脈なんです。

インターパーク宇都宮MAP

どれだけ交通があるかの測定データより

  • 1日に7万台以上の車が通る
  • 昼間に走る車の5台に1台は大型トラック
  • 平均時速は60km以上

つまり、買い物客の乗用車が走る道路というより、トラックが荷物を運ぶ道路みたいなものなんです。ここに買い物目的の車を混ぜるのは、そもそも無理がある話なんですね。

さらに国道4号線は、信号による渋滞をさせないために、高架橋で車をスムーズに流すようにできているんですが、そのかわり側道との合流が多くて、合流のたびに車が詰まるんです。

合流と分岐が次々と続いていて、「ここで車線変更しなきゃ」「あ、また合流だ」の繰り返し。右側車線は早くても左側の車線の速度が落ちやすいお手本です。

交差支障

何でもある便利さの落とし穴

インターパークは、ただのショッピングモールだけじゃありません。周りには工場や物流センターもたくさんあって、工場のトラックが頻繁に出入りしています。

「何でもある」のは便利ですが、それぞれに必要な交通の流れが全然違うんですね。トラックがスムーズに走れる道路と、家族連れが安全に買い物に行ける道路は、本来別々に作るべきなんです。でも現実には同じ道路を使うので、お互いが邪魔し合って、予想外の渋滞や事故の危険が生まれてしまいます。

市境の壁:連携の難しさ

さらに厄介なのが、国道4号線のインターパークの南側がすぐに宇都宮市から上三川町に変わります。

行政区分が変わるからか南側からインターチェンジに向かうには、一度側道に降りてから合流しなければならず、とても使いにくい構造になっています。

今、この南側に新しい「道の駅」を作る計画が進んでいますが、宇都宮市と隣の町がうまく連携できなければ、道路はもっと複雑になり渋滞しやすくなります。

まとめ

宇都宮インターパーク周辺の渋滞は、単純に車が多いからではありません。

トラックの高速道路に買い物客が混じる構造的な問題信号のない道路なのに合流で詰まる設計の矛盾、そして市町村をまたぐ道路計画の調整の難しさ

これらが重なった結果なんです。

便利さを追求した結果生まれた、予想外の問題。それが宇都宮インターパークの渋滞の正体なのです。

参考文献

  • (仮称)道の駅かみのかわ基本構想 上三川町
  • 工業団地の用途転換による大規模商業集積に関する研究 城間 奨ほか (社)日本都市計画学会 都市計画論文集 No43-3 2008年10月
  • 栃木県 地域の主要渋滞箇所(一般道)
  • 令和3年度 一般交通量調査結果(可視化ツール)

奈良県!国体よりサッカークラブ「FCバルセロナ」誘致

奈良県の広報誌見てたら「エッ!」ってなった話

田んぼがサッカー場になるって、マジ?

先日、奈良県の広報誌をパラパラめくってたら、目に飛び込んできた記事にびっくり。

バルセロナレジデンスアカデミー誘致!」

え、バルセロナ?あのサッカーの?奈良に?

よく読むと、川西町の県有地にFCバルセロナの下部組織を作るらしい。しかも写真を見ると…

「エッ、ココって田んぼだったんじゃ?」

気になって現地に行ってみました。

このあたりにサッカー場ができるらしい
発掘調査中

現地に行ったら田んぼはもうありません

川西町の予定地に着いてみると、想像通り田んぼは跡形もなく消えてました。 代わりに広がってるのは発掘調査の現場。

「ここにサッカー場ができるんだ…」

正直、複雑な気持ちになりました。

でもね、これってエコなの?

奈良県って「環境に優しい」とか「持続可能な」とか、よく言ってますよね。 でも田んぼを潰してサッカー場って、本当にエコなんでしょうか?

田んぼは

  • 水を蓄える
  • 生態系を支える
  • 食料を作る
  • 景観を保つ

一方、サッカー場は…まあ、芝生は綺麗だけど。

どっちがエコなのか、私にはよくわからない。

あれ、この知事って…

そこでふと思い出したんです。

この知事、国体の予算思いっきり削ったよね?

当時は「県の財政も厳しいし、プライマリバランスもあるのかな」って思ってたんですが…

でも今度は、プロサッカーの練習場をわざわざ作ってあげるの?

しかも庶民には「子どもが夢を見れるだけ」って。

えっ、他の競技やアマチュアは無視ですか?

国体って、いろんな競技の人が参加できるじゃないですか。 水泳、陸上、バスケ、バレー…

でもバルセロナのアカデミーって、基本的にサッカーだけですよね? しかもエリート選手育成がメイン。

他の競技をやってる子どもたちは? アマチュアで頑張ってる人たちは?

氷河期世代に至っては、もうメリットないんじゃ?

税金は払ってるのに、恩恵は「子どもが夢を見れる」だけ。 なんか切ない。

これって、あの理論じゃない?

考えてみると、これって国の政策と全く一緒なんですね。

某総理が言い出したトリクルダウン理論そのまま

  • まず上(エリート、プロ)にお金を投資
  • そうすると下(庶民)にも恩恵が滴り落ちる
  • みんなハッピー!

でも実際は…どうでしたっけ?

古都も外国誘致なんですね

奈良県って「古都」って言いますけど、結局やることは外国誘致。

バルセロナ、インバウンド…

どこも同じような政策になっちゃうんですね。

素朴な疑問

別にバルセロナアカデミーが悪いとは思わないんです。 成功すれば観光客も来るし、国際交流も進むでしょう。

でも、なんで

  • 国体(県民みんなが使える)の予算は削って
  • バルセロナ(一部の人だけ)の予算は出すの?

これが「子どもたちのため」って言うなら

  • 他の競技の子どもはどうなるの?
  • 子どもがいない人の税金も使うけど、それでいいの?

答えは出ないけど

正直、答えは出ません。

でも少なくとも、疑問を持ち続けることはやめちゃいけない。 「夢を与える」って言葉に酔っちゃダメ。

誰が夢を見られて、誰が取り残されるのか

これを考え続けることが、民主主義なのかなって思います。


みなさんはどう思いますか?コメントで教えてください!

たまたま通った電車、特急かな

古レール?なんだろうこれ、、、

参考文献

県の広報誌「県民だより奈良」/奈良県公式ホームページ 2025年7月号

川西町都市計画図を公開します | 奈良県川西町

【独自考察】イオンモール須坂でどこまで渋滞が起きるのか?

結論、通勤や通学(特に帰宅時)に渋滞に巻き込まれる可能性があるものの 全然動かないレベルにはならず、高速道路までは渋滞しないと推測する。

 はじめに

2025年10月3日(金)、長野県須坂市にオープン予定の「イオンモール須坂」。延べ床面積約91,000㎡、駐車台数約3,700台というスケールである。

立地は高速道路の須坂⻑野東インターチェンジから、長野駅方面(西側)へわずか250m先の信号交差点がイオンモールへの出入口になる。

このインターチェンジ長野駅を結ぶ道路は現状でも混雑しているため、イオンモールによる渋滞悪化の懸念が出ている。

どこまでひどくなるか、どのようにすれば少しでも渋滞を減らせるかを考察する。

そもそも今そこまで酷い渋滞があるのか?

まず前提として、確かに朝夕の通勤時間帯などで混雑することはあるが、数値でどれほどの渋滞が発生しているのか。 渋滞の指標として「渋滞量」がある。道路の設計容量に対する実際の交通量の比率である。

インターから長野駅方面への道路の渋滞量は0.9。長野市内では1.26以上、全国では1.7という数値も多数ある中、全国的に見ればそれほど深刻ではない。

高速道路の渋滞量は南側(東京方面)0.46、北側(日本海方面)0.33とまだ余裕がある。

イオンモール開業で一気に破綻するか

答えは「必ずしもそうではない」。

断言はできないが、交通麻痺レベルには陥らないと楽観的に予測している。

周辺道路構成は意外に強い

近隣道路MAP

イオンモール須坂が接続する幹線道路は以下の通り:

  • 南方面高速道路:須坂長野東ICに直接隣接(最重要アクセス)
  • 南方向(高速道路以外):片道1車線の国道403号線
  • 西方向:片道2車線の主要地方道(橋経由で長野駅へ)
  • 東方向:片道2車線の国道403号線(少し進むと片道1車線)
  • 北方向:片道1車線の道が2本

このように放射状に複数の経路があるため、車両を分散させることで一つの道路への負担を軽減できる。

加えて、周辺は住宅密集地ではなく農業・産業地帯であり、即住宅街ではないので交通の誘導がやり易い。

行政の対策に感じる違和感

須坂市は渋滞対策として岡山のイオンモールを参考にしているが、両者の条件は大きく異なる。

比較項目 岡山 須坂
駅からの距離 徒歩10分(新幹線駅) 駅から遠い/徒歩困難
駐車場 有料/価格調整あり 無料/価格制御なし
都市構造 中心部集約型 広域自動車依存型
主なアクセス 自動車文化であるが、徒歩・電車・バスも充実 ほぼ全員自家用車

岡山では駐車場料金や公共交通で人流を分散できたが、須坂を含む長野県では車に依存せざるを得ない条件が揃っており、同じアプローチでは制御不能である。

現実的な交通対策:私案

「車前提」「滞留の最小化」「分散と吸収」を中心とした以下のプランを提案する。

✅ 臨時駐車場を2,000台規模で確保

イオンモールと同じ再開発地域の未活用土地や近隣の駐車場を借用する。

✅ 関係者は完全バス通勤

従業員駐車場を来場者に開放。従業員数だけで2,500人、オープン時は本社からの応援も加わるため、この効果は大きい。

✅ 案内看板を半径5km以内に徹底設置

遠方ドライバーの混乱を防ぐため、適切な誘導を行う。

✅ ガードマンは半径1km範囲に重点配置

誘導密度を局地的に高くして、進入時の混乱を防止する。

✅ 高速に近い駐車場出入口を「出口専用」に

高速道路出口付近への車両集中を避けるため、あえて遠い入口まで誘導し、高速道路出口での滞留を防ぐ。

✅ 駐車場内は「回遊式導線」で車を流す

すべての入口から入った車を建物外周まで誘導し、この外周(約700m)を低速で巡回させて待機列を敷地内に収める。空いたスペースには最も近い位置にいる車が優先入庫するシステムで、常に流れを維持する。

入庫ルート私案

数値目標

以下の目標達成を目指す:

  • 高速出口の滞留ゼロ(必達)
  • 西側の橋の渋滞 1km以内
  • 国道渋滞は3km以内
  • その他ルートでは完全停止状況を起こさない

「バス推奨」はむしろ逆効果の可能性

行政が検討している「バス運行増便」や「市内巡回バス」は、効果が薄く、コスト負担が重く、乗車率も期待できない。

  • 自宅からバス停(または駅)までの移動方法が車の場合、駅などに駐車場が必要
  • 自動車社会では、バスより自家用車が圧倒的に優先される
  • バスが渋滞に巻き込まれ「余計な障害物」になるリスクもある

公共交通の”強化”よりも、自動車交通の”整理”と”誘導”が鍵となる。バスは従業員や関係者の移動手段として活用すべきだ。

おわりに

真の試練はオープン時ではなく、特別体制終了後に始まる。オープン時は莫大なコストをかけて警備・誘導を行うが、通常運営への移行は避けられない。参考にしたイオンモール岡山も、特別体制緩和後に渋滞が劇的に悪化している。

このイオンモールが成功すれば、全国各地でサービスエリアの代わりに大型商業施設でゆっくり過ごすことができるかもしれない。失敗すれば、高速道路近くへの大型商業施設建設は困難になるだろう。

その分岐点にこのイオンモールがある。


交通渋滞調査特集 - ブログ記事リンク集

イオンモール岡山はなぜ渋滞するようになったのか

はじめに

イオンモール岡山は、岡山市中心市街地、岡山駅の南側(徒歩10分以内)という好立地にそびえる大規模商業施設として、開業以来多くの人々を引きつけてきた。 だがその一方で、渋滞の問題も根強く、「なぜあれほど混むのか?」という疑問を抱いた人は多いだろう。 今回、この交通問題をあらためて都市設計・交通構造の視点から整理してみた。


道路は高速と国道2号線がカギ

イオンモール岡山と岡山IC・国道2号線との位置関係と方向別出庫割合(イメージ)

🚗 根本的な原因は「岡山ICと国道2号線(西側)へ出るときに混む」

まず結論から言うと、イオンモール周辺が混雑する主因は、「高速道路と国道2号線へ出るときのボトルネックである。

岡山市街の道路構造上、高速道路や国道2号線に接続するルートが複数ある。つまり、都心部はかなり細かく整備されている。しかし、それがネックとなり交差点同士が非常に近く渋滞になりやすいうえに、最終的に北側(高速道路方面)と南西側・南東側を結ぶ国道2号線に集中する。つまり、どれほど周辺道路を整備しても、最終的にその集中箇所で詰まってしまう。

イオンモール内の駐車場から車を一気に出そうとしても、最終的に出口のボトルネックで"押し戻され"、施設内や周辺道路に車列が滞留する構造的限界があるのだ。


イオンモール岡山駐車場アクセススルート

🛣️ どこで「滞留」させるかがカギになる

この構造的問題を前提とすると、次に出てくる課題が、

「出庫する車をどこで滞留させるか?」

という交通制御の問題だ。

南側のけやき通りに出庫車両が集中する設計であり、この道と高速道路や国道2号線に抜けるための東側の市役所通りの拡幅工事が行われた。

これらの通りはもともと商店街のメインストリートでもあり、歩行者や地元店舗にとっては極めて重要な商売のための道路である。にもかかわらず、実質的にイオンモールからの出庫者用の道として使われている。

こうなると、当然ながら地元からの反発や摩擦が起きるのは避けられない。


🚊 路面電車が問題をさらに複雑に

そして、このエリアの交通設計をさらに難しくしているのが、路面電車の存在である。

市役所通りを含む一帯には、岡山電気軌道路面電車が走っており、公共交通の軸として非常に重要な役割を果たしている。しかしその反面、 * 路面電車は渋滞に巻き込まれない * 電停周辺で車両速度を制限するよう設計変更(1車線化)されている

などの事情により、道路の柔軟な制御が極めて難しくなっているのが現状だ。

結果として、市役所通りのもう一つ東側の国道180号線への迂回が難しく、市役所通りの依存度が高まっている。


🏬 「けやき通り=イオンの道」への懸念

こうした中で、地元商店街の人々が危惧したのは

「けやき通りが、事実上イオンモールの専用道路になってしまったのではないか?」

という疑念だ。

実際に、けやき通りの車線数は増強され、イオンの南側出入口と直結する構造となっている。その一方で、地元商店の駐車場へのアクセスや、歩行者空間の快適性は北側の駅方面を優先した印象がある。(歩行者空間はJR岡山駅方面や路面電車方面に歩道橋や地下街でアクセスできるようにした。)

この歩行者の回遊問題を語りだすと、百貨店の存在が出てくるのだが、あまりにも複雑になりすぎるので、興味がある方は書籍『ショッピングモールと地域 著:井尻昭夫ほか』にこのあたりの経緯が詳しく書かれている。


自家用車は高速道路方面と国道2号線に出る車がボトルネックの要因であり、都心部だけを改善しても限りがある。


開業当初の対策

公共交通機関の優遇策

自家用車より公共交通機関を圧倒的に推進した。

車利用抑止政策 開業当初は駐車場の料金を高く設定して、周辺駐車場より高めで公共交通機関の方がお得だと思わせた。

公共交通機関の利便性向上 バスや電車の増便を実施した。

広報活動 イオンモールからの公共交通機関を進める広報だけでなく、岡山市からも公共交通機関の利用を広報誌で伝えた。

駐車場対策 臨時駐車場を3,000台以上準備した。さらに一部の臨時駐車場からイオンモールまでの公共交通機関の費用の一部をイオンが負担。

結果 大きな交通渋滞は発生しなかった。ただし一部1.1kmの渋滞はあったもののそこまでの混乱ではなかった。[1]

開業から時間が経過すると

バーゲン時などに渋滞が増えた。駐車場から出るのに1時間以上かかるようになった。おそらく駐車場料金が通常期の価格(すなわち値下げ)になり、開業当初のオープンの準備金でのイオン負担のサービスが終了したためと推測できる。

言い換えれば、圧倒的な公共交通機関誘導が削減されたため、利用者にとって公共交通機関より自家用車の方が便利と判断したのであろう。

📝 結びに

イオンモール岡山の混雑は、公共交通機関VS自動車利用どちらがお得だと思わせるかの心理戦だと言える。

道路の構造的に自家用車での来店が増えれば、一部の道路(けやき通りや市役所通り)に負荷をかける。

公共交通機関を有利にしようと思えばイオンの負担が続くことになり、事業継続的にいつかはサービスを削減せざるを得ない。

私見が続くが、以前私がラゾーナ川崎(こちらは神奈川県のJR川崎駅直結の大型ショッピングモール)での渋滞を分析した際も自家用車利用が有利な駐車料金設定になっていた。

私が見た論文内では、自家用車と公共交通機関でどちらがお金を使ってくれるかの比較結果がばらついていたが、大型デベロッパーのイオンモールや三井ショッピングモールが周辺道路の混雑を許容する駐車料金ということは、車での来場の方が利益が多くなるのではないか。だからこそ、近隣渋滞と利益追求(私企業であるから当然である)のジレンマがあるのかもしれない。

ラゾーナ川崎の道路渋滞問題を徹底分析|適法設計でも解決しない5つの構造的要因 - asklib


🔍 参考文献:

[1] 『ショッピングモールと地域』(井尻昭夫ほか) [2] イオンモール岡山オープン後1カ月間の利用調査 [3] 渋滞対策研究会 渋滞対策の提言 2016


交通渋滞調査特集 - ブログ記事リンク集

ミナーラてくてく編

ミナーラの道路状況を見に行ったついでの、てくてく写真です。

平城京の端?に迷い込みました。感想、、、、緑(笑)

平城京、、、緑!

平城京の真ん中を走る近鉄電車

第3駐車場を歩いていたら特急電車がちょうど来ました、二階建てなのかな?

ミナ―ラと近鉄特急

搬入口も豪華ー、さすが 元そごう

豪華な搬入口

歩道橋を歩いてみた

阪奈道路を奈良都心方面

なんだろうこれ、遺跡?

国道24号線の高架したです。たしかここ奈良公園パークアンドライドとして活躍してたはず

24号線高架下