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ショッピングモールの渋滞がなぜ発生するか構造的に分析

ららぽーと愛知東郷の駐車場渋滞を構造分析_入出庫に時間がかかる理由

ららぽーと愛知東郷」は、愛知県の東部にあるショッピングモールです。 駐車場台数は3900台、専門店は201店舗の大きな施設です。

SNSの口コミではネガティブ要素の「休日渋滞」「出庫40分」「南立体は地獄」など投稿が多いので調査してみました。 意外にも駐車場が満車ではないにも関わらず、ネガティブ投稿が発生している。 そこで構造的な問題がないかを俯瞰してみる。

1. 施設構成

広域MAP

概要はこちらららぽーと愛知東郷 - asklibdata

1.1.公共交通機関

最寄駅の日進駅(2.2km)まで距離があるためバスに乗り継ぐ必要があります。

1.2.駐車場

駐車場 種別 台数
PA北立体 立体 604台
PB北立体 立体 965台
PC北立体 立体 962台
PD南立体 立体 776台
屋上駐車場 平面(屋上) 543台
ハイルーフ・特別駐車場 平面 50台程度
合計 3,900台

に加えて敷地外に120台程度の臨時駐車場がある。

各駐車場の台数

駐車料金は無料です。

1.3 周辺道路

北側から

国道153号線(片道2車線)
住宅
県道218号線(片道1車線)
住宅
川沿いの道(東向け一方通行)
ららぽーと
県道諸輪名古屋線(片道1車線)
住宅

となる

西側からは

山(一部臨時駐車場)
道路(片道1車線)
ららぽーと
県道57号(側道北行き1車線)
県道57号(高架、本線片側2車線)
県道57号(側道南行き1車線)
住宅

になる。

近隣MAP

2.複雑さが増す構造

出入口の配置にかなり癖がある  ※非常に複雑な運用ですので、一例です。

2.1 南側

 店舗屋上駐車場とP(D)合わせて1,319台の駐車スペースがあります。

 この駐車スペースに入れる道路は南側の県道諸輪名古屋線(片道1車線)のみです。

 しかも左折イン、左折アウトで右折も許さない構造です。

 これにより、1車線に1319台すべての入出庫の車が集まります。

 もちろん、県道で県の東西を結ぶ道路ですので通過する車もありますし、

 なんと、ららぽーとのバスターミナルもこの道路に接続するように設計されています。

 1319台の駐車スペースの車+バス+通り過ぎる交通が1車線に集まります。

 一般的に片道1車線で捌けるのは一時間当たり700台程度です。

 もし、一時間で駐車場の半分の車が入出庫するだけで、道路をすべて埋め尽くします。

2.2 北側

 北側はP(A~C)の1,927の駐車スペースがあります。

 入庫は

 西側の道路と東側の県道瀬戸大府東海線(側道北行き1車線から入れます。

 しかし混雑時は西側の入庫の口を閉じて一旦南側の道路に迂回させます。

 これにより、ただでさえ南側の道路(さきの2.1で解説)で渋滞している中に、北側のP(A~C)の車も押し出してさらに悪化させます。

入庫ルート

 出庫は

 P(A~C)について、東側の県道瀬戸大府東海線(側道北行き1車線)と「川沿いの道(東向け一方通行)」の2つの道に押し出します。

 P(B~C)は各立体駐車場の北側からでると、強制的に東側の県道瀬戸大府東海に行ってしまうため、混雑時は北側の出口を塞いで南側から出し駐車場を一周させて「川沿いの道(東向け一方通行)へ出庫させます。ただしこれは場内ですが右折アウトになるので混雑時のみの運用で普段は左折のみという非常にややこしい運用です。

に加えて、本来なら西側の南北につなぐ道路にも出庫できるのですが、この道は入庫の車を並ばせる道にしてしまっているので、こちらからは出庫させません。

出庫ルート

3. 公式の案内

3.1.時差来店

 とにかく時差で来店、退店するように促しています。

3.2.出庫ルートの変更

 P(D)からの出庫について、 県道諸輪名古屋線(片道1車線)から東側の県道瀬戸大府東海線(高架、本線片側2車線)で右左折せず直進して名古屋銀行の交差点で右左折するように案内しています。

公式の案内を再プロット

3.3.東京大学と連携してAI活用

 東京大学の同一系列のららぽーとでの研究事例があり、将来的にAIを活用した効率的な入出庫制御が行われる可能性があります。 未来予想誘導アルゴリズムによる車の渋滞の解消 – 三井不動産東大ラボ

4.対策

 入庫は以下の順番で

 侵入は東側の名古屋銀行ある交差点から(県道瀬戸大府東海線よりさらに東側)

 混雑時、直進して臨時駐車場を目指す

 駐車場が空いているときは、県道瀬戸大府東海を右折して側道から駐車場(PA~C方面)に侵入

 できればP(A)を目指す、開いて無ければP(B~C)で我慢する。

対策ルート

5.データ分析(あくまでも概算です)

純化するために、ピーク時間も公共交通利用もゼロにしています。

5.1 来館台数の推定

プレスリリースによると、土日祝日の来館者数は約30,000~35,000人/日とされている。 ここでは休日の自家用車来店を想定し、1台あたり2人と仮定する。

  • 来館者数:30,000~35,000人/日
  • 1台あたり人数:2人/台(仮定)

この条件から、来館車両数は以下の規模となる。

  • 約16,000台/日(中央値ベース)

営業時間は10:00~21:00の11時間であるため、単純平均すると、

  • 約1,455台/時間

の車両が、入庫または出庫している計算になる。


5.2 方向別の来店車両数(概算)

住民説明会で示された来店需要予測をもとに、各方向別に来店車両数を割り振る。

方向 来店比率 1日あたり台数 1時間あたり台数
北側 61% 約9,760台 約887台/時
東側 18% 約2,880台 約262台/時
西側 12% 約1,920台 約175台/時
南側 9% 約1,440台 約131台/時
合計 100% 16,000台 1,455台/時

この結果から、北側(主に国道153号側)からの来店車両が全体の6割以上を占めていると推定される。

5.3 入口別負荷の読み替え

施設の入口配置を踏まえて整理すると、概ね以下のような負荷構造になる。 本施設では左折インを基本としているため、来店方向と入口の対応関係は比較的固定的である。

  • 西側入口系統:約887台/時間
  • 東側入口系統:約300台/時間
  • 南側入口系統:約260台/時間

一般に、信号制御や右左折、商業施設への流入が発生する片道1車線道路では、実効的に処理できる交通量は概ね700台/時間前後とされることが多い。

この数値と照らし合わせると、西側入口系統は平均値の時点ですでに処理能力の上限に近い負荷を抱えていることになる。

設計段階において西側からの来店交通量が多いことは把握されていたと考えられ、そのため西側に複数の入口が設けられ、負荷分散が図られた可能性が高い。


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