大型ショッピングモールといえば、週末の大渋滞がつきものだ。しかし、京都府久御山町に立地するイオンモール久御山(くみやま)は、あまり渋滞の情報を聞かない。

イオンモール久御山

段階的に拡張している
イオンモール久御山は、最初から現在の姿で計画された施設ではない。
- 1999年:ジャスコ久御山として開業
- 2000年:早期に増築(現イオンタウン久御山)
- 2003年:京滋バイパス開通(それ以前は周辺まで未到達)
- 2003年:第二京阪道路が開通(イオンモール付近だけ先行部分開通)
- 2012年:大規模増築により現在のイオンモール久御山へ
重要なのは、施設規模の拡大が、周辺道路網の整備とほぼ同時進行で行われてきた点である。
結果として、
- 店舗規模
- 駐車場台数
- アクセス道路
この三者のバランスが、常に大きく崩れないまま更新され続けてきた。
日本有数の「広域アクセス道路」に囲まれた立地

北側(東西軸)
西側(南北軸)
- 国道1号線(片側2車線)
東側(南北軸)
多くの郊外型モールが「片側1~2車線の幹線1本」に依存しているのに対し、久御山は広域交通の接点になっている。
国道から直接アクセスさせない
イオンモール久御山は、国道から直接出入りできない。必ず一度、久御山町が管理する町道を経由する構造になっている。(南東駐車場を除く)
この町道が、交通の“クッション”として機能する。

町道経由がもたらす効果

駐車場を“分けた”ことが最大の勝因
敷地を十字に貫く町道を軸に、駐車場は4エリアに分散配置されている。

総駐車台数は約3,200台(イオンモール約2,400台、イオンタウン約800台)。
結果的に
- 出入口が自然に分散され
- 右折イン・右折アウトも限定的に許容し
- 無理な集約動線を作っていない
という点である。
車優先を貫いた“割り切り”の設計
久御山の設計思想は一貫している。車優先!
横断歩道をあえて設けない
国道と町道をつなぐ一部交差点では、意図的に横断歩道が省かれている。歩行者待ちによる停止を排し、車両流を優先するためだ。

信号で人を待たせる
南東側駐車場では、町設置の信号で交通を整理。歩行者側が待たされる設計だが、車の運転手は信号に従い通行可能である。歩行者が断続的に渡るために進めないという事態にはならない。

いきなり国道に出さない
南東側から国道1号線へは一方通行路を経由。直接合流させず、加速・判断の余地を与えている。
東側の国道へはT字交差点
イオンモールから東側の国道に出る場合はT字交差点になる。
これは十字型の交差点より青信号が長くなる。
さらに、歩行者がこの国道を渡るための横断歩道がなく、代わりにアンダーパスの道路で国道を渡れる。
つまり、青信号になれば直進者待ちや横断者待ちで止まることなくスムーズに出られる。

南側からの限定アクセス
南側は府道81号線(片側1車線)から直接本館駐車場へ誘導。細い道路に交通が滞留しないよう、影響を最小化している。

歩行者には必ずしも優しくない。しかし、「詰まらせない」ことを最優先した結果としては、極めて合理的だ。 今の建築基準なら許されないが、もともと湿地帯で、住宅地というより農業地や工業地という立地がこれを支えたと考えられる。
まとめ
この久御山の特徴まとめ
・段階的に拡張して確実にニーズに合わせ、需要を見誤ってもすぐに修正できる。
・小さい基礎自治体である久御山町の道路を必ず通らないといけないため、町が全面的に協力してイオンモールの交通対策を重点課題として推し進められる。
結果論だが、今でいう最適化になっている。
一度に巨大化したモールや巨大自治体では、後から交通を直すことは難しい。だが久御山は、都市と一緒に育った商業施設だった。
デメリットもある
次のような割り切りが存在する。
・歩行者導線を犠牲にしてでも、車の流れを最優先している
・国道から直接イオンモールへ進入できないため、立ち寄り需要の一部は取りこぼしている
さらに構造的な弱点として、
・いずれか一つの接続道路が大渋滞すると、その影響がイオンモールを介して他の幹線道路へ連鎖しやすい
それでもなお、この設計が成立しているのは、 「すべてを満たす」ことではなく、「どちらの不満が小さいか」を選び続けた結果だからだ。
参考事例
交通接点で大渋滞
アウトレット木更津の渋滞原因を6つのレイヤーで解説!アクアラインだけが問題ではない - asklib
鳥栖アウトレット渋滞の構造的要因を交通データで分析|交通ハブ・駐車場・近隣交差点問題 - asklib
大きな道路にいきなりアクセスで大渋滞
ららぽーと門真の渋滞問題を現地調査してみた - asklib
--
まったりモードです。余った写真を掲載してます イオンモール久御山のてくてく編 - askchatのブログ
