asklib

ショッピングモールの渋滞がなぜ発生するか構造的に分析

イオンモール大日の渋滞分析、「ららぽーと門真」と比較する

――わずか2.6kmしか離れていないのに、体感がまるで違う理由――

大阪中央環状線沿いには、テレビで「激しい渋滞を生む施設」として紹介された「ららぽーと門真」がある。 そしてそのわずか2.6km北側、ほぼ同じ中央環状線に接する位置にイオンモール大日が立地している。

KTVテレビのららぽーと門真渋滞コンテンツ

「駐車場から出るのに4時間半」「冷凍食品は全て解凍」“大渋滞”の商業施設 実証実験で効果があった「小さな仕掛け」 | 特集 | ニュース | 関西テレビ放送 カンテレ

距離も立地条件も似ている。 さらに言えば、売り場面積(賃貸面積)はほぼ同規模だ。

それにもかかわらず、

実際、現地を見ても慢性的な破綻状態にはなっていない

これは偶然ではない。

売り場面積はほぼ同じ、だが駐車場は“半分”

まず数字を並べてみる。

項目 イオンモール大日 ららぽーと門真 比較
賃貸面積 約56,000㎡ 約66,000㎡ ほぼ同規模
駐車台数 2,274台 4,300台 約2倍差
北側道路の交通量 48,903台/日 37,466台/日 大日の方が多い

普通に考えれば、 「駐車場が少ないイオンモール大日の方が、入庫待ちで先に破綻しそう」 と思うはずだ。

しかし現実は逆に近い。

同一スケールで規模感比較

① 地下鉄直結という圧倒的な公共交通機関

最大の違いはここだ。

イオンモール大日は 大阪メトロ谷町線・大日駅の北側最終駅に直結している。

  • 雨でも外に出ずに入店可能
  • 終着駅=折り返し需要をすべて吸収
  • バス・自転車・徒歩比率が極端に高い

結果として、 そもそも「車で来ない客」を大量に抱えている。

一方のららぽーと門真は駅徒歩圏ではあるが、 都市型+広域集客型の性格が強く、 車依存度がどうしても高くなる。

イオンモールは一般に 商圏が比較的コンパクト ららぽーと広域から車で集める設計

この思想差が、最初から効いている。

②-1 駐車場を「立体」ではなく「分離」で解いた設計

ららぽーと門真は、

  • 敷地内に複数の立体駐車場
  • 平面上で交差が多発
  • 場内に信号が必要なほど交錯

対してイオンモール大日は、

  • イオン棟
  • シネマ棟

完全に分離し、 それぞれが独立した駐車場を持つ。

両棟は地下通路で行き来できるため、 利用者動線は確保しつつ、 車の交差は極力起こさない

さらに重要なのが道路構成だ。

店舗周辺車線MAP

②-2「一方通行」を使って右折問題を消している

シネマ棟南側の道路は 東→西の一方通行

これにより何が起きるか。

  • 対向車が来ない
  • 右折イン・右折アウトが成立
  • 交差支障が物理的に発生しない

結果として、 信号に頼らずに処理できる導線が生まれている。

ららぽーと門真では 信号交差点+右左折自由+複数導線 という「全部盛り構造」が 中央環状線への負荷を増幅させている。

※おそらく公道になると思うが施設設計段階から行政とかなり連携していることが予想できる。

③ 高速ICの“入り方”が違う

意外だが、 信号制御の方が流量を安定させやすい

ららぽーとは 「一気に流れ込む→一気に詰まる」 イオンモールは 「信号で小刻みに処理する」

高速道路との接続方法ひとつで、ピーク時の交通挙動はここまで変わる。

※施設でどうにかなる話ではないが、近隣の渋滞ポイントの違いになる。

④ 前面道路の“車線数”が違いすぎる

イオンモール大日の前面道路、 府道13号線(旧国道1号はとにかく広い。

  • 右左折レーン込みで最大5車線
  • 中央環状線への接続も余裕あり

対して、 ららぽーと門真側の国道163号線3車線規模で、容量差は歴然。

さらに、 この大きな交差点とは別にそれぞれの南側に別の出口がある。

  • イオンモール大日:左折イン・左折アウト強制して側道に出す
  • ららぽーと門真:右左折・直進すべて許容する信号交差点

という違いがあり、 信号の間の距離が大日の方が広く一気に流しやすい。

⑤駐車場状況を比較

2026年1〜2月の調査データでは、

イオンモール大日は、観測期間中一度も満車にならなかった

特に正午〜18時のピーク帯では、 ららぽーとが満車寄りに対し、 イオンは混雑レベルで安定している

この差は、普段使いとしてのイオンモールと 特別な日のららぽーと という特性がよく分かるデータであろう。

イオンモールは普段使いな分、特別な日に一気に集中しない駐車場のメリットが来ている。

イオンモール大日駐車場調査データ イオンモール大日 駐車場状況 - asklibdata

ららぽーと門真駐車場調査データ ららぽーと門真 駐車場状況 (2026年1月3日) - asklibdata

まとめ

イオンモール大日は「混まないこと」を最優先に設計されている

駐車台数は確かに少ない。 ただし、導線も直感的とは言い難い。

といいつつも

鉄道でのアクセスの良さ 駐車場アクセス(真ん中に公道・一方通行の利用) 高速ICの影響を受けにくい 店前の道路車線数が多い 駐車場の余裕

イオンモール大日は「地域密着重視で、多少分かりにくくても、とにかく詰まらせない」 ららぽーと門真は「広域からの集客で特別な日に、一気に集客・特別な体制をとる」

という思想の違いだと言えるだろう。

asklib.hateblo.jp

関連リンク 調査施設一覧地図で探す