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ショッピングモールの渋滞がなぜ発生するか構造的に分析

なぜイオンモール豊川は「思ったより渋滞しない」のか?徹底分析してみた

愛知県豊川市に2023年にオープンしたイオンモール豊川。大型商業施設といえば周辺道路の大渋滞が心配されるものですが、このイオンモールについては「思ったより渋滞しない」という声が多く聞かれます。

なぜなのでしょうか?交通データと実際のアンケート結果を基に、その理由を詳しく分析してみました。


地図はこちら▶(外部リンク)


近隣MAP

立地条件:アクセスの良さが鍵

公共交通機関も利用しやすい

イオンモール豊川は名鉄八幡駅から徒歩わずか350メートル。これは大型商業施設としては非常に恵まれた立地です。車以外の選択肢があることで、来店者の交通手段が分散されています。

道路アクセスが充実

周辺の道路網も充実しています:

南側

北側

  • 県道(片道1車線)

西側

  • 県道(片道1車線)

東側

  • 県道(片道1車線)

これらに加えて、アクセス道路として南側に片道1車線道路を2本、北側に片道2車線道路、東側に片道2車線道路が整備されています。

特殊事情:病院との共存

興味深いのは、イオンモールの北側に豊川市民病院があることです。この病院はイオンモールより先に存在していたため、道路設計に大きな影響を与えました。

この配慮により、救急車の通行を妨げることなく、かつ交通の流れも効率化されています。

数字で見る交通処理能力

駐車場容量

  • 総駐車台数:約3,000台
    • 店舗隣接:約2,100台
    • 少し離れた場所:900台

計算上必要な駐車台数は2,500台だったため、余裕を持った設計となっています。

交通処理能力の分析

ピーク時の交通量 最も混雑する時間帯で1時間あたり約2,000台の車が出入りします。

アクセス道路の処理能力 一般道路では1車線あたり約700台/時間の通行が可能です。イオンモール豊川の場合:

  • 南側:片道1車線×2本 = 1,400台
  • 北側:片道2車線 = 1,400台
  • 東側:片道2車線 = 1,400台

合計:4,200台/時間の処理能力

需要2,000台に対して供給4,200台なので、十分な余裕があります。

広域道路への影響も軽微

主要道路の混雑状況を見ても

  • 国道1号線:混雑度0.77(1.0以下は余裕あり)
  • 国道131号線:混雑度0.57
  • その他県道も概ね良好

混雑度が1以下で流せる台数の合計約2,000台で、需要3,000台に対してやや不足に見えますが。ただし、混雑度1.0を超えても通行は可能であり、実際には問題ないレベルです。

ちょっと広域

実際の市民の声

開業後に実施されたアンケート結果も、この分析を裏付けています。

渋滞に対する評価

  • 改善した:14.6%
  • 変化なし:51.8%
  • 悪化した:27.5%

交通安全に対する評価

  • 改善した:17.7%
  • 変化なし:52.4%
  • 悪化した:18.9%

こうしたアンケートでは心理的影響から「改善」の回答が少なくなる傾向がありますが、それでも一定以上の評価を得ているのは注目すべき点です。

成功の要因まとめ

イオンモール豊川が「思ったより渋滞しない」理由は以下の通りです:

  1. 十分なアクセス道路の確保:基幹道路と店舗の間に適切なバッファーがある
  2. 公共交通機関の利用可能性名鉄駅至近で車以外の選択肢がある
  3. 病院との共存を考慮した設計:救急車の通行を妨げない工夫
  4. 余裕を持った駐車場設計:計算値より多めの駐車スペース確保
  5. 周辺道路インフラの同時整備イオンモール建設に合わせた道路拡幅

駐車場は現在無料

開業当初は駐車券による入出庫管理と精算システムが導入されていました。しかし、どうやら…

精算や駐車券の受け渡しに時間がかかっていた という課題があったようで、現在では駐車券の発行を廃止し、駐車料金を無料化しています。 これは、交通の流れをよりスムーズにするだけでなく、

駐車場待ちによる渋滞の軽減 精算機の電力消費や設備維持コストの削減 といった環境面・運用面での“エコ効果”も期待できる取り組みです。

まぁ、無料で足りてるなら、わざわざ電気使って駐車システム入れるよりエコかなと…(笑)

今後の課題

これだけ対策が行き届いているため、大きな追加対策は不要ですが、強いて言えば

  • 少し離れた駐車場への動線改善(雨天時の傘の貸し出しサービスなど)

といった利便性向上策が考えられます。

結論:計画的な交通対策の成功例

イオンモール豊川は、大型商業施設の立地において理想的な交通対策を実現した事例と言えるでしょう。基幹道路まで渋滞を波及させない適切なアクセス道路の確保と、既存の公共施設(病院・駅)との調和を図った計画的な開発が、この成功をもたらしています。

さらに、イオンモール建設に合わせて駅や病院へのアクセス道路も整備されたことで、駅を中心とした交通結節点全体の機能向上にも貢献している点も見逃せません。

大型商業施設の立地計画において、非常に参考になる成功事例と言えるのではないでしょうか。

施設基本情報

項目 内容
施設名 イオンモール豊川
都道府県 愛知県
運営会社 イオンリテール株式会社
敷地面積(m2) 128,024
延床面積(m2) 113,000
賃貸面積(m2) 63,000
店舗階数 3
専門店数 200
開業日 2023/3
映画館
駐車台数 2,670
駐車料金 有料(但し現在は一時的に無料)
最寄駅 八幡駅
距離(m) 350
乗降客数(人 /日) 2,294
最寄りIC 豊川IC
ICからの距離 10,188
入口の数 5
駐車場の数 2
駐車場状況リアルタイムURL リンク
GoogleMap リンク

追加文献

開業前対策 CBC NEWS X https://newsdig.tbs.co.jp/articles/cbc/416020?display=1


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