コメリパワー平群店およびトライアルの出店計画が進む中で、地域住民の間ではさまざまな懸念があがっています。その中でも、「生活道路の通過交通化」というリスクは、まだ十分に議論されているとは言えません。
■ 表面化しにくいリスク:「裏道化する生活道路」
大規模店舗が開業すると、国道168号線の混雑が一層激化することが予想されます。これ自体は事業者も想定しており、警察と協議しながら対応するとしています。
しかし、本当に怖いのは「混雑を避けようとする通勤・通学ドライバー」が生活道路へ流入する構図です。
店舗への買い物客が裏道を利用するケースは限定的であり、速度も比較的低め。 一方で、通勤や通学といった「時間に追われるドライバー」が日常的に生活道路を使い始めると、その性質はまったく異なります。 • 急いでいるため速度が出やすく、 • 毎日のように利用されるため通行量も増加し、 • 道路の幅員や歩道整備が不十分な箇所では非常に危険になります。
■ 想定が甘いまま「流れ」ができてしまう
事業者は「裏道は地元住民しか知らないため、大きな問題にはならない」と説明しています。しかし近年は、Googleマップなどのナビアプリが混雑回避ルートとして生活道路を積極的に案内します。
一部の車両が抜け道として使い始めると、やがて「裏道の定着化」が始まり、止めることが難しくなります。
しかも、それが通学路や高齢者の生活動線と重なると、事故リスクは一気に高まります。
■ 生活道路が「構造的に」通過交通に取り込まれる前に
審議会の中でも、「生活道路への流出入」について一定の配慮を求める意見は出されていますが、現時点では明確な通行規制や物理的対策の案は提示されていません。
今後求められるのは、以下のような事前の予防的対応です: • 通勤時間帯の生活道路の交通量・速度の実走調査 • 生活道路沿道の通学・歩行環境の把握 • ゾーン30や「進入禁止(時間指定)」などの交通規制の検討 • 「ここは抜け道ではない」と明示する看板設置などの視覚的対策
■ まとめ
大規模店舗の開業は地域経済に一定のメリットをもたらしますが、交通への影響は単純な渋滞だけではありません。 裏道としての生活道路の通過交通化は、事故や生活環境の悪化といった取り返しのつかない問題を引き起こす可能性があります。
こうした構造的なリスクに、計画段階から目を向ける必要があります。