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ショッピングモールの渋滞がなぜ発生するか構造的に分析

【独自考察】イオンモール須坂でどこまで渋滞が起きるのか?

結論、通勤や通学(特に帰宅時)に渋滞に巻き込まれる可能性があるものの 全然動かないレベルにはならず、高速道路までは渋滞しないと推測する。


地図はこちら▶(外部リンク)


 はじめに

2025年10月3日(金)、長野県須坂市にオープン予定の「イオンモール須坂」。延べ床面積約91,000㎡、駐車台数約3,700台というスケールである。

立地は高速道路の須坂⻑野東インターチェンジから、長野駅方面(西側)へわずか250m先の信号交差点がイオンモールへの出入口になる。

このインターチェンジ長野駅を結ぶ道路は現状でも混雑しているため、イオンモールによる渋滞悪化の懸念が出ている。

どこまでひどくなるか、どのようにすれば少しでも渋滞を減らせるかを考察する。

そもそも今そこまで酷い渋滞があるのか?

まず前提として、確かに朝夕の通勤時間帯などで混雑することはあるが、数値でどれほどの渋滞が発生しているのか。 渋滞の指標として「渋滞量」がある。道路の設計容量に対する実際の交通量の比率である。

インターから長野駅方面への道路の渋滞量は0.9。長野市内では1.26以上、全国では1.7という数値も多数ある中、全国的に見ればそれほど深刻ではない。

高速道路の渋滞量は南側(東京方面)0.46、北側(日本海方面)0.33とまだ余裕がある。

イオンモール開業で一気に破綻するか

答えは「必ずしもそうではない」。

断言はできないが、交通麻痺レベルには陥らないと楽観的に予測している。

周辺道路構成は意外に強い

近隣道路MAP

イオンモール須坂が接続する幹線道路は以下の通り:

  • 南方面高速道路:須坂長野東ICに直接隣接(最重要アクセス)
  • 南方向(高速道路以外):片道1車線の国道403号線
  • 西方向:片道2車線の主要地方道(橋経由で長野駅へ)
  • 東方向:片道2車線の国道403号線(少し進むと片道1車線)
  • 北方向:片道1車線の道が2本

このように放射状に複数の経路があるため、車両を分散させることで一つの道路への負担を軽減できる。

加えて、周辺は住宅密集地ではなく農業・産業地帯であり、即住宅街ではないので交通の誘導がやり易い。

行政の対策に感じる違和感

須坂市は渋滞対策として岡山のイオンモールを参考にしているが、両者の条件は大きく異なる。

比較項目 岡山 須坂
駅からの距離 徒歩10分(新幹線駅) 駅から遠い/徒歩困難
駐車場 有料/価格調整あり 無料/価格制御なし
都市構造 中心部集約型 広域自動車依存型
主なアクセス 自動車文化であるが、徒歩・電車・バスも充実 ほぼ全員自家用車

岡山では駐車場料金や公共交通で人流を分散できたが、須坂を含む長野県では車に依存せざるを得ない条件が揃っており、同じアプローチでは制御不能である。

現実的な交通対策:私案

「車前提」「滞留の最小化」「分散と吸収」を中心とした以下のプランを提案する。

✅ 臨時駐車場を2,000台規模で確保

イオンモールと同じ再開発地域の未活用土地や近隣の駐車場を借用する。

✅ 関係者は完全バス通勤

従業員駐車場を来場者に開放。従業員数だけで2,500人、オープン時は本社からの応援も加わるため、この効果は大きい。

✅ 案内看板を半径5km以内に徹底設置

遠方ドライバーの混乱を防ぐため、適切な誘導を行う。

✅ ガードマンは半径1km範囲に重点配置

誘導密度を局地的に高くして、進入時の混乱を防止する。

✅ 高速に近い駐車場出入口を「出口専用」に

高速道路出口付近への車両集中を避けるため、あえて遠い入口まで誘導し、高速道路出口での滞留を防ぐ。

✅ 駐車場内は「回遊式導線」で車を流す

すべての入口から入った車を建物外周まで誘導し、この外周(約700m)を低速で巡回させて待機列を敷地内に収める。空いたスペースには最も近い位置にいる車が優先入庫するシステムで、常に流れを維持する。

入庫ルート私案

数値目標

以下の目標達成を目指す:

  • 高速出口の滞留ゼロ(必達)
  • 西側の橋の渋滞 1km以内
  • 国道渋滞は3km以内
  • その他ルートでは完全停止状況を起こさない

「バス推奨」はむしろ逆効果の可能性

行政が検討している「バス運行増便」や「市内巡回バス」は、効果が薄く、コスト負担が重く、乗車率も期待できない。

  • 自宅からバス停(または駅)までの移動方法が車の場合、駅などに駐車場が必要
  • 自動車社会では、バスより自家用車が圧倒的に優先される
  • バスが渋滞に巻き込まれ「余計な障害物」になるリスクもある

公共交通の”強化”よりも、自動車交通の”整理”と”誘導”が鍵となる。バスは従業員や関係者の移動手段として活用すべきだ。

おわりに

真の試練はオープン時ではなく、特別体制終了後に始まる。オープン時は莫大なコストをかけて警備・誘導を行うが、通常運営への移行は避けられない。参考にしたイオンモール岡山も、特別体制緩和後に渋滞が劇的に悪化している。

このイオンモールが成功すれば、全国各地でサービスエリアの代わりに大型商業施設でゆっくり過ごすことができるかもしれない。失敗すれば、高速道路近くへの大型商業施設建設は困難になるだろう。

その分岐点にこのイオンモールがある。

追加文献

開業前 渋滞懸念記事

https://www.nbs-tv.co.jp/news/articles/?cid=23222

須坂市 再開発事業

https://www.city.suzaka.nagano.jp/soshiki/6010/4303.html

施設基本情報

項目 内容
施設名 【建設中】イオンモール須坂
都道府県 長野県
運営会社 イオンリテール株式会社
敷地面積(m2) 167,000
延床面積(m2) 91,000
賃貸面積(m2) 63,000
専門店数 170
開業日 2025/10/3
映画館
駐車台数 3,700
駐車料金 不明
最寄駅 北長野
距離(m) 7,200
最寄りIC 須坂長野東IC
ICからの距離 4,468
入口の数 4
駐車場の数 1
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