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【2025年夏 東海環状道 本巣〜大野神戸開通】祝いつつ、静かに読み解く「道路政策の本音」

2025年8月30日(土)、東海環状自動車道の本巣IC~大野神戸IC間(6.8km)が開通予定です。既に4月に開通した山県IC~本巣IC間と合わせて、この開通により名神高速養老JCTから東海北陸道美濃関JCTまで、ついに東海環状道が環状に"つながる"ことになります。

ひとまず、「開通日確定おめでとうございます!」 ……なんですが、せっかくなのでインフラ好きとしては「ちょっと裏も読んでみたい」わけでして。今回はこの開通をきっかけに、環状ネットワークの実情や、国の"道路整備の考え方"の裏側について、静かに掘ってみます。


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"つながる"東海環状道:ぐるっと中部の高速ネットワーク

今回の開通で、以下の幹線道路が環状に接続されることになります:

つまり、東海圏をぐるっと囲む"ほぼフルの環状高速ネットワーク"が、形になってきました。(新名神四日市JCT名神の養老JCTは一部工事中)これで名古屋圏をバイパスし、物流の効率化や災害時の迂回ルートとしても期待が高まるわけですが──

現実には「暫定二車線」… まだ本気じゃない?

実際には、今回開通予定の本巣IC~大野神戸ICを含む西側区間の多くは、暫定二車線での整備となっています。対面通行のため、大型トラックの追い越しが困難で、渋滞や事故リスクも高く、正直言って"本格的に使いやすい道"とは言い難いのが現状です。

しかも、国交省・中部地方整備局の発表では、名神の養老JCTから東海北陸道のダブルネットワーク形成はしっかり強調されているものの、中央道〜新東名方面とのネットワーク強化については意外なほど控えめな扱いです。

これはおそらく、「正直、まだ大量の交通が流れてきてほしくない」というインフラ側の"本音"がにじんでいるのかもしれません。

とはいえ、建設の"意義"としてはアピール必須

それでも、名神〜東海北陸を結ぶことは、この道路整備の"存在意義"そのものです。つまり、本音では「まだそんなに使ってほしくない」けれど、整備意義としては「つながったことはちゃんと見せたい」──

この微妙なバランス感覚が、プレスリリースの書き方からもけっこう読み取れて、なかなか興味深いところです。

一方で、南東側の新東名〜中央道ルートは"しっかりダブルネットワーク"に成長

同じ東海環状道でも、新東名・豊田東JCT〜中央道・土岐JCTのルートはすでに実用レベルまで整備が進んでいます。

  • 新東名:6車線で高規格整備
  • 東海環状道(この区間:4車線以上で整備
  • 土岐JCT:中央道に直結

このルートは、すでに実用的な物流バイパスルートとして機能しており、「新東名と中央道のダブルネットワーク」として十分な信頼性を備えた道路に育ってきました。

国土軸は新東名・新名神に"軸足"を移している?

最近の高速道路整備の傾向を見ていると、国土軸="日本の中心を通る高速幹線"が、新東名・新名神にシフトしているように感じられます。

路線 車線数・整備状況
新東名 原則6車線、渋滞少・高性能
新名神 暫定2車線だが拡幅前提の構造
東名・名神 老朽化進行、局所的に更新対応

この構図を見ると、「新東名〜新名神を新たな幹線として位置づけ、東名・名神はバックアップ用途に回す」という方向性が、じわじわと現実味を帯びている気がします。

キーポイントは「養老JCT〜新四日市JCT」の全線開通

実際、今後のカギを握るのは、養老IC〜いなべIC区間が完全に開通し、新東名〜新名神名神(西)を"まっすぐバイパスできるようになる"ことです。

これが実現すれば、名古屋を完全にバイパスする"第二の大動脈"が完成することになります。現在、この最後の区間である養老IC〜いなべIC間は2026年度開通予定とされていますが、トンネル工事の難航により遅れる可能性も指摘されています。

インフラ整備の"費用対効果"をどう見るか

こうした大規模事業は当然、多額の建設費を要します。道路事業では一般的に「費用便益比(B/C)」という指標で事業の妥当性を評価しますが、これには注意深い見方が必要です。

高速道路のB/C算定では、以下のような前提条件が置かれています:

  • "全線開通が前提"での効果試算
  • "需要が予測通りに伸びる"という仮定

つまり、途中段階で「B/Cが高いから大丈夫!」と判断するのは少し危険で、本当の意味での"事業効果"が現れるのは、全線開通後、想定通りの交通が流れて、それを10年スパン程度で検証してからというのが実情ではないでしょうか。

インフラ計画は「予測できない未来」への賭け

B/Cは確かに重要な指標の一つです。しかし、それだけを鵜呑みにせず、「将来どう使われるか」「技術や社会がどう変わるか」を見越して整備するのが、道路計画の難しさでもあります。

誰も完璧な答え合わせができないまま、長期間をかけて山を削り、橋を架ける。インフラ計画って、本当に難しい分野です。でも、それがまた魅力的でもあるんですよね。

今回の開通の意義、そしてこれから

今回の本巣IC〜大野神戸IC間の開通は、間違いなく東海環状道の"重要な節目"になります。ネットワークは確実に"つながった"。でも、そこからどう活かしていくかは、まだこれからの話です。

「開通日確定おめでとうございます!」と同時に、この道路の真価が問われるのは、これから10年先の話かもしれません。

8月30日開通部分

参考文献・関連資料

官公庁・関係機関資料

学術的背景

道路事業の費用便益分析については、国土交通省が定める標準的手法に基づき、走行時間短縮便益、走行経費減少便益、交通事故減少便益を主要な評価項目として算定される(国土交通省道路局, 2020)。ただし、環状道路のような大規模ネットワーク事業では、部分開通段階での効果測定の限界や、全線開通後の長期的効果の不確実性が指摘されている(交通工学研究会, 2019)。

報道・専門誌

  • 日経コンストラクション「地方の道路整備とB/C評価の課題」(2021年8月号)
  • 乗りものニュース中日新聞岐阜新聞 各紙報道(2024-2025年)
  • JAHIC日本高速情報センター 開通情報レポート

今回の主な関係機関


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