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災害対策としてバイパス道路建設は持続可能なのか~災害時の生活道路活用という選択肢~

道路に関する予算ご存じですか?

令和7年(建築費のピーク)と現状と比較して

  • 建設費:11兆円 → 3.9兆円

  • 維持費:2.7兆円 → 3.1兆円

このデータが示しているのは、建設予算が縮小する一方で、既存インフラの維持にかかる費用が着実に増加しているという現実です。

出典国土交通省「道路統計年報2024 附表」附5 道路投資の推移より

誰もが理想とする道路整備の姿

もちろん、理想を言えば新しいバイパス道路があった方が良いに決まっています。

  • 災害時のリダンダンシー(代替機能)確保

  • 交通渋滞の解消

  • 地域経済の活性化

  • より安全で快適な交通環境

こうした効果を考えれば、関係者の皆さんが新規道路建設を望むのは当然のことだと思います。

ただし、避けて通れない財政的現実

しかし、同時に考えなければならないのが長期的な財政負担です。

新規道路建設が生む将来負担

例えば、地方部に10kmのバイパス道路を建設する場合:

  • 建設費:約100億円

  • 年間維持費:約5,000万円

  • 大規模修繕費:建設から30年後に約20億円

  • 50年間の総負担:約150億円〜200億円

建設時の費用だけでなく、その後数十年にわたって確実に発生する維持管理費用も含めて考える必要があります。

維持費増加の現実的予測

高度経済成長期やバブル期に建設された道路インフラが本格的な更新時期を迎える今後、この維持費はさらに増加することが予想されます。

そこで提案したいアイデア:災害時限定の生活道路活用

基本的な考え方

多くの幹線道路には、並行して県道や市道といった生活道路が既に存在しています。これらを災害時に限定して迂回路として活用するという発想はいかがでしょうか。

平常時:従来通り生活道路として利用

災害時:緊急車両や復旧車両の迂回路として機能

具体的な整備内容

必要最小限の改良により、災害時の迂回機能を確保します:

  • 部分的な道路拡幅:離合困難箇所への待避所設置

  • 見通し改良:急カーブ部分の安全性向上

  • 橋梁補強:災害時の通行確保のための耐震性向上

  • 案内標識整備:災害時の迂回路案内システム

コスト面でのメリット

約8分の1から10分の1のコストで、災害時のバックアップ機能を確保できる可能性があります。

実現に向けた課題と対応策

住民の皆さんへの配慮

生活道路に災害時の交通が集中することについて、沿道住民の方々のご理解とご協力が不可欠です。

対応策の例

  • 平時の交通安全対策の充実

  • 災害時運用ルールの明確化

  • 住民説明会での十分な議論

道路管理者間の連携

国道、県道、市道をまたがる迂回路設定には、管理者間の綿密な調整が必要になります。

対応策の例

  • 災害時協定の事前締結

  • 合同での運用訓練実施

  • 情報共有システムの整備

まずは試行的な取り組みから

モデル地区での実証

全国一律の実施は困難ですが、条件の整った地区から試行的に始めてみるという方法があります。

選定条件の例

  • 災害リスクが相対的に高い地域

  • 並行する生活道路が既に存在

  • 関係自治体の協力が得られる

既存計画との整合性

現在進行中の道路建設計画との調整も重要な課題です。優先順位を改めて検討し、限られた予算の効率的な配分を考える必要があります。

結論:現実的な選択肢としての検討を

道路整備を取り巻く環境は、この67年間で大きく変化しました。建設予算の制約と維持費の増加という現実を踏まえつつ、それでも必要な機能をいかに確保するか。

新規バイパス建設という従来のアプローチに加えて、既存の生活道路を災害時に活用するという選択肢も検討に値するのではないでしょうか。

もちろん、このアイデアにも課題はあります。しかし、限られた予算の中で災害に強い道路ネットワークを構築するための一つの方向性として、関係者の皆さんにご検討いただければと思います。


この記事は道路政策について一つのアイデアを提示するものです。実際の政策検討においては、より詳細な調査・分析が必要です。

参考資料